国際通貨基金(IMF)の概要と実績
- 設立及び我が国の協力開始の時期・経緯・目的
(1) 開始時期
IMFは、1944年7月米国ブレトン・ウッズにおいて開催された連合国通貨金融会議において調印されたIMF協定に基づき、1946年3月に設立された。我が国は1952年に加盟している。(2) 経緯及び目的
IMFの目的は協定第1条に規定されており、要すれば、加盟国が通貨に関して協力し、為替相場の安定を促進することにより国際金融秩序を維持し、また為替制限を撤廃することによって世界貿易の拡大をはかり、もって経済成長を促進させるということである。99年3月末現在の加盟国数は182ヵ国である。
- 活動の概要
IMFの具体的活動としては、(1)国際収支危機を未然に防ぐための加盟国のマクロ・為替政策に関するサーベイランス(監視)、(2)加盟国の国際収支調整及び経済構造調整のための融資、(3)財政金融制度の整備や統計作成のための技術支援等が挙げられる。
- 最近の活動内容
(1) 概要
アジアにおける通貨危機に対する支援として、タイ、インドネシア及び韓国等に対し経済調整プログラムを策定し、政策措置の実施を条件(コンディショナリティー)とした融資を行ったほか、金融セクターへの技術支援等を行っている。
また、低所得国に対しては、中期的なマクロ経済調整及び構造調整プログラムの履行支援を目的として、譲許的な条件(金利0.5%、期間10年)によるESAF融資(EnhancedStructuralAdjustmentFacility)を実施している。(2) 地域別実績
(1) IMFの通常融資(一般資金の引き出し)
(単位:百万SDR)1997年 1998年 国数 金額 国数 金額 アフリカ 4 370 5 314 アジア 5 12,802 6 11,260 ヨーロッパ 10 2,272 7 5,313 中東 2 154 2 33 西半球 3 515 6 3,667 計 24 16,113 26 20,586
(2) ESAF融資
(単位:百万SDR)1997年 1998年 国数 金額 国数 金額 アフリカ 13 348 19 533 アジア 3 125 1 114 ヨーロッパ 5 178 7 146 中東 1 44 1 44 西半球 2 35 3 59 計 29 731 31 896
- 我が国との関係
(1) 意思決定機構における我が国の位置づけ
IMFは各加盟国の総務(代表)により構成される総務会(年1回開催)を最高意思決定機関とし、暫定委員会(年2回開催)が総務会に勧告・報告を行っている。なお、日常業務の決定(融資の承認等)は日本を含む5ヵ国からの任命理事と19人の選任理事からなる理事会で行われている。
我が国は1952年以降現在まで理事国を務めている(1970年以降は任命理事となっている。)。(2) 事務局における邦人職員
IMFのスタッフは、各国理事室職員を除いて98年5月現在2,192人(専門職1,494人、補助職698人)となっている。専門職職員の国籍別比率では日本は1.5%で第14位である。邦人では杉崎重光氏が副専務理事を務めている。(3) 財政負担
99年3月末現在、我が国の出資シェアは米に次いで、加盟国中第2位。(4) 主な使途を明示した特定信託基金への拠出、活用状況
(1) ESAF利子補給金勘定(ESAF Subsidy Account)等
97年度拠出 約76百万ドル
98年度拠出 約74百万ドル
使途: 低所得国に対するESAF融資の利子補給、及びIMFが施する重債務貧困国への債務救済を支援 (2) 日本管理勘定(Japan Administered Account)等
97年度拠出 約21百万ドル
98年度拠出 約26百万ドル
使途: 金融セクター改革、統計整備、税制改革等に関する専門家の派遣・セミナーの実施による技術支援、及び体制移行国向けの人材育成等IMFが行う奨学金制度を支援 (5) 我が国ODAとの協調実績
IMF融資と日本輸出入銀行の融資(OOF(その他の公的支援))との協調融資はあるものの、海外経済協力基金等のODAとの協調融資はない。
ただし、通常、公的債務削減等はIMFプログラムの合意、履行を前提として行われている。
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