国際農業開発基金(IFAD:International Fundfor Agricultural Development)の概要と実績
- 設立及び我が国の協力開始の時期・経緯・目的
(1) 設立時期及び協力開始時期
国連の専門機関として1978年より業務を開始。我が国は、原加盟国としてIFAD設立当初より資金協力を行っている。(2) 経緯
1974年11月、ローマで開催された世界食糧会議において、開発途上国の農業生産増大に必要な資金調達のため、国際農業開発基金の設立構想が決議されたことにより設立、1978年よりローマにおいて業務を開始。(3) 目的
開発途上にある加盟国の農業開発のため、追加的な資金を緩和された条件で提供。
- 事業の仕組み
(1) 概要
所得が低く、かつ食糧が不足している地域での飢餓と貧困を撲滅するため、被援助国である開発途上国からの依頼に基づき、農村開発プロジェクトに必要な資金を融資することで食糧の増産、所得の向上、健康・栄養・教育水準を改善し、持続性のある生計が営めるような援助を実施している。その活動資金は、加盟各国から過去複数の増資を通じて拠出されている。(2) 審査・決定プロセス
IFADの行う事業の中、融資及び贈与等個々の具体的なプロジェクトについては、年3回開催される理事会において審議、承認が行われる。他方、IFAD事業に係る方向性、政策を決定する場合には、理事会での審議・承認に加えて全ての加盟国から構成される総務会における承認を経て決定される。(3) 決定後の案件実施の仕組み
IFAD自身は「金融機関」として資金の提供を行うものであり、実際の個々の事業実施は、IFADの融資対象国たる加盟国が主体となって、必要に応じて関係する国際機関及びNGO等の協力をも得つつ実施する。なお、IFAD融資事業の管理・評価等は、従来UNOPS等の他機関に委託されたきたが、近年、IFAD自身によるプロジェクト管理・評価の試みも行われている。
- 最近の活動内容
(1) 活動の概要
近年、IFADは、貧困と環境破壊が相互に深く関係していることに鑑み、そのプロジェクトの実施に当たり、環境問題に十分留意し、環境保全をも最も重要な課題の1つとして取り組んでいる。この関連では、農地の砂漠化問題への取組には力を入れており、IFADは「砂漠化防止条約の地球機構」のホスト機関に選ばれたことを受けて、今後一層の役割を果たすことが期待されている。(2) 地域別実績(通常融資案件ベース)
(単位:百万ドル)
97年 98年 金額(件数) 金額(件数) アフリカ1(西部)
アフリカ2(南東部)
アジア太平洋
中南米
中東・北アフリカ18.5(2)
35.3(4)
177.2(10)
84.6(6)
82.1(8)80.2(7)
63.7(5)
104.6(7)
74.0(5)
90.7(6)合計 397.7(30) 413.2(30) (3) 主要な事業
IFADの中心となる融資分野は、農業開発、農村開発、農村金融、灌漑、畜産、漁業、定住、食糧の貯蔵・加工・マーケティング、調査・訓練の9分野。
- 我が国との関係
(1) 意思決定機構における我が国の位置付け
IFADが実施する個々のプロジェクトを中心とする機関の活動や今後の活動方針等は、年3回開催される理事会において事実上決定される。我が国は、理事国としてその発言を反映させ得る立場にある。(2) 邦人職員
幹部職員としては、柴田総裁補が活躍。その他、APOとして2名の若手邦人職員が勤務。(3) 財政負担(累計拠出)
IFAD設立時の当初拠出及びその後行われた4回の増資における累計拠出で、我が国は、総額約2.2億ドルを拠出、拠出シェアでは6%となり、米、サウジアラビアに次ぐ第3位の拠出国として貢献してきた。特に、第4次増資においては、総額3,799万ドルを拠出し、最大の拠出国としての地位を占めるに至っている。(4) 主な使途を明示した特定信託基金への拠出
1995年、我が国は、途上国の農村開発における女性の役割の重要性に鑑み、IFADにて各種調査、技術訓練等を行うことを目的として日・IFAD・WID基金を設け、平成11年度まで累計で445万ドルを拠出している。
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