ガーナ(国別援助方針)


  1. 基本方針

    (1)我が国の援助対象国としての位置付け

    (イ)ガーナは、西アフリカの中心国の一つであり、政治的に大きな発言力を有していること、
    (ロ)83年以来構造調整政策を推進し、経済改革に積極的に取り組んでいること、
    (ハ)大統領・国民議会選挙を経て、93年1月に民政移管を完了させ、96年12月の大統領・国民議会選挙についても極めて公正に透明性を持って実施し、順調かつ確実に民主化プロセスを進展させていること、
    (ニ)我が国との関係が良好であること、
    (ホ)具体的な開発目標を掲げ、経済社会開発のための主体性(オーナーシップ)を発揮し、ガーナの開発政策がDAC新開発戦略の趣旨にも合致し、ガーナにおいて新開発戦略の実施を重点的に支援しうる状況にあること、
    (ヘ)一人当たりGNPが390ドル(97年)と低く、大きな援助需要があること、

    等を踏まえ、援助を実施する。
     なお、ガーナは我が国の二国間援助実績(98年までの支出純額累計)で第22位(アフリカ地域で第3位)の受け取り国であり、また、ガーナにとり我が国は第1位(97年)の援助国である。

    (2)我が国の援助の重点分野

     我が国は、ガーナにおける開発の現状と課題、開発計画等に関する調査・研究及び95年3月に派遣した経済協力総合調査団及びその後の政策協議等によるガーナ側との政策対話を踏まえ、以下の分野を援助の重点分野としている。

    (イ)基礎的生活基盤の改善

    (a)生活用水

     特に地方都市や農村部において安全な水へのアクセスが不足しているので、衛生状況の改善、女性の水汲み労働の軽減のため、都市給水や地下水開発等により生活用水の確保を支援する。

    (b)教育

     中長期的な経済社会開発に不可欠な人材育成を行うため、基礎教育や職業訓練の充実へ向けた支援のほか、特に女子の基礎学力の欠如が顕著であることから、女子に対する教育の改善について支援する。

    (c)人口・エイズ、子供の健康

     ガーナの人口増加率は非常に高く、経済成長の成果を削減する要因となっている。また、近年の急激なエイズの蔓延は緊急に取り組むべき課題であり、子供の健康改善に資する感染症対策とともに、これらの問題に対しきめの細かい協力を実施する。

    (ロ)農業

     小規模農家がガーナの農業の主体であり、天候不順、土壌劣化等により生産性が低下していることから、生産性向上のための食糧増産援助、小規模潅漑技術の移転と施設のリハビリ・拡充、ポスト・ハーベスト(貯蔵、流通、加工)部門の強化・充実等への支援を実施する。

    (ハ)道路・電力

     道路は最重要投資分野として比較的整備が進んでいる中で、地方部での道路の未整備、幹線道路の劣化が農産物等の輸送上の障害となっている。また、経済発展とともに、電力需要が急速に伸びつつある他、雨量不足による深刻な電力供給の低下も生じている。これらを踏まえ、幹線道路のリハビリ、地方部における生活道路の整備、電力施設の整備を支援する。

    (3)留意点

    • ガーナにおける構造調整政策は概ね順調に進捗しているが、天候依存型農業、雨量不足による電力供給の低下、対外債務返済等に伴う外貨保有高の減少等経済基盤の脆弱性は解消しておらず、援助の実施に当たっては、一次産品依存の経済体質からの脱却、債務状況の改善等こうした問題の解消に向けたガーナの自助努力を一層喚起するマクロ面の支援を行う必要があることを念頭に置く。
    • 98年10月に東京にて開催された第2回アフリカ開発会議(TICAD2)で採択された「東京行動計画」の推進に資する協力を実施し、また、同計画で述べられた域内協力の可能性について、同国を拠点とした西アフリカ地域に裨益するプロジェクトの実施を検討していく。

  2. ガーナ経済の現状と課題

    (1)主要経済指標

    一人当たりGNP (97年)と同成長率
    (90-97年平均)
    実質GDP成長率
    390ドル、1.4%
    (世銀資料)
    93年4.8%、94年3.6%、95年4.5%、96年5.2%、97年5.1%、98年4.6%
    (IMF資料)

    (2)現状

     83年以降の構造調整を通じた経済改革により、サハラ以南アフリカ諸国の中で構造調整が最も成功した国と評価されているように、概ね順調な経済成長を維持しているが、一方で非効率的な公共セクター、高インフレ率、援助依存度の高さ、貧困問題等多くの課題を抱えている。

    (3)課題

    • 財政改革、対外債務残高の削減、インフレの抑制
    • カカオ等一部のセクターにおける規制緩和の深化、公的セクターの改革、投資環境の整備
    • 持続的な経済成長の基盤となる経済インフラの整備及び産業育成
    • 水供給、教育、保健・医療等の社会サービスの向上
    • 人口増加の抑制、エイズ対策
    • 経済社会開発の基盤である人材育成
    • 食糧の安定供給に向けた農業の生産性向上、ポスト・ハーベスト(貯蔵、流通、加工)部門の整備

  3. 開発計画

    中期開発計画(1996年~2000年)

    (課題)

    • 農村住民及びインフォーマル部門の労働者を中心とした技能、商業知識の向上
    • 1人当たりGDPの500米ドルへの引き上げ
    • 年平均8%のGDP成長
    • 現在の年平均人口増加率の3%から2.75%への引き下げ
    • 水供給、地方電化、衛生設備の普及等による農村地域における社会サービスの整備
    • 経済社会インフラ整備、都市計画及び土地利用に係る法制度の整備等
    • 行政改革プログラム実施による権限移譲、地方分権化の促進

  4. 援助実績

    (1)我が国の実績(支出純額、単位:百万ドル)

    有償無償技協合計供与先順位
    98年(暦年)94401615111位
    98年(暦年)までの累計7083451671,22020位

    (2)DAC諸国からの実績(支出純額、97年(暦年)、単位:百万ドル)

    二国間総額1位2位3位
    292日本 70米国 44ドイツ 42

    (3)国際機関のODA実績(支出純額、97年(暦年)、単位:百万ドル)

    国際機関総額1位2位3位
    193IDA 225AfDF 33CEC 25
CEC:Commission of the European Communities(欧州委員会)

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