1.1998年の政府開発援助実績(注1)


 1998年の日本の政府開発援助は、アジア経済危機支援のための大幅な円借款の伸びが見られたことから対前年比14.2%増の107.76億ドルの実績を示した。経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)によれば、日本は91年以来8年連続して世界第1位のODA供与国となり、ODAの対GNP比は0.28%となった(前年は0.22%)(注2)。 形態別では、98年の実績のうち二国間援助は全体の約8割の86.51億ドル(対前年比30.8%増)となり、その内訳は、無償資金協力が21.76億ドル(同7.8%増)、技術協力が28.18億ドル(同6.7%減)、政府貸付等が36.57億ドル(同132.4%増)であった。また、国際機関(世界銀行など国際開発金融機関及び国連の開発関係機関)を通じた援助は全体の約2割の21.25億ドル(対前年比24.7%減)となっている。

 二国間援助、特に政府貸付の増加は、経済危機下の東南アジアに対する足の速い借款の緊急的な供与等によるアジアへの供与の増加を背景としており、地域別で見ると、アジア向け援助の二国間援助全体に占める割合は前年の46.5%から61.0%へと増加した。アフリカ地域に対する援助の比率は11.0%(前年は12.1%)となっているが、絶対額で見た場合には増加している。その他の地域は、絶対額も二国間援助に占める比率も減少しており、中南米地域向けは6.4%(前年は10.8%)、中近東地域向けは4.6%(前年は7.8%)、大洋州向けは1.7%(前年は2.4%)、欧州地域(東欧等)は1.7%(前年は2.0%)となった。

 国際機関を通じた援助については、開発や人道に関連する国際機関等に対する拠出は、国連開発計画(UNDP)を通じた対インドネシア民主化支援や対パレスチナ支援(いずれも緊急無償)等を反映し、対前年比1.0%増の6.96億ドルとなった。また、例えば国連児童基金(UNICEF)や国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のコアファンドに対しては、98年はそれぞれ約0.26億ドル(対前年比8.8%減)及び約1.06億ドル(対前年比8.6%減)の拠出を行った。また、世界銀行等の国際金融機関への出資等については、増資サイクルの関係で対前年比33.0%減の14.29億ドルとなった。なお、日本政府の拠出により設けられている世界銀行の開発政策・人材育成基金へは98年度約177億円(約1.35億ドル、対前年度比9.7%減)、アジア開発銀行の特別基金へは98年度約72億円(約0.55億ドル、対前年度比31.4%減)の拠出等を行った。

(注1)
  • 国際的な比較の都合上、暦年・ドルベースの統計を主として用いている。円で実績等が示される場合は、括弧内に98年DAC指定レート(1ドル=130.89円)でドル換算した額を概数で表示している。
  • 資料編2.98年我が国政府開発援助実績参照。
  • 特記なき限り、東欧諸国及び卒業国向け及び欧州復興開発銀行(EBRD)向けを含む。
(注2)他のDAC諸国との比較上、東欧諸国向け及び卒業国向け、EBRD向けを除いた数値。


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