7.平成10年度政府開発援助予算のポイント


平成10年度の一般会計ODA予算は、97年6月3日の財政構造改革会議において決定された対前年度比10%以上削減という極めて厳しい縮減目標の下、予算編成が行われた。
他方、同年7月には、橋本総理大臣より「予算編成過程において……所管の枠を超えた総合的調整を行い、ODAの効果が最大限上がるよう効果的・効率的な予算配分を行う」よう基本方針が示された。
さらに同年12月には、上記基本方針を踏まえ、橋本総理大臣より外務大臣と大蔵大臣に対して、今後のODA予算の調整について、

の4点を踏まえ「思い切った総合調整を行い、我が国のODAの質の向上、存在感の強化に努める」よう指示があった。

上記基本方針等に従い、概算要求の予算配分から、所管の枠を越えた思い切った総合調整が以下の通り実施された。

(1)具体的には、政府全体の一般会計ODA予算について、概算要求の予算配分から、
(イ)限られた資金を重点的に配分するとの観点より、
環境、社会開発等の重点分野にかかる無償資金協力の拡充、
人造り支援の観点から、JICAによる研修員受人の拡充、留学生経費の増額など、技術協力の拡充、
UNHCR、UNICEFを始めとする人道・環境・人造りの分野にかかる国連機関に対する拠出金等を大幅に増額。国際開発金融機関等への拠出については、総額を削減する中で、環境、金融セクタ一改革支援等の分野に重点化を図った。
(ロ)ODAの裾野を拡大する観点から、青年海外協力隊員の増、NGOの活用などによる草の根無償の増額など、国民参加型のODAを推進。
(ハ)リハビリ無償の創設など無償資金協力、有償資金協力、技術協力間の連携強化を図る。ODA関係省庁にかかる技術協力については、連携強化を促進するとともに、効率化の観点から、一部JICAへの予算移管を実施。
(ニ)ODAの効率的・効果的な実施のため、事前調査、事後評価、フォローアップの拡充を図る。
(ホ)他方、これまでの執行状況等を勘案し、海外経済協力基金にかかる出資金、国際開発金融機関への拠出金を大幅に削減。
(2)以上の結果として、一般会計ODA予算については、対前年度比10.4%減の1,0473億円が計上されている。

また、一般会計予算に円借款の原資となる財政投融資資金、国際開発金融機関に対する国債による払い込み、各省庁の特別会計予算等を加えた事業予算では、対前年度比17.1%減の13,891億円となった。


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