文化無償の概要と実績


  1. 設立経緯及び根拠・目的

    開発途上国において、社会の経済的発展とともに、その国固有の文化の維持・振興に対する関心が高まり、文化面を含む広い視野からバランスのとれた国家開発をおこなう努力がなされている。こうした努力に対し、我が国としてもその国と協力しながら、伝統文化や文化遺産の保存、芸術・教育活動等への支援を行っている。このような国際文化協力において、文化無償協力は重要な柱のーつとなっている。
    文化無償協力は、文化財・文化遺産の保存活用、文化に係る公演及び展示事業等の開催、教育・研究振興等に使用される資機材の購入のための資金を贈与することにより、開発途上国の文化、教育の発展を支援するとともに、我が国とこれら諸国との文化交流を促進し、友好関係及び相互理解を増進させることを目的として、昭和51年の閣議決定により、昭和50年度予算より開始された。
    平成9年度までに114ヶ国に対して、合計908件、総額373億2450万円の文化無償協力を実施してきている。平成3年度に東欧各国を対象に加えてから、その後中央アジア諸国、バルト諸国、南アフリカなどを新たな対象国としている。
    わが国文化無償協力の実施基準は以下のとおりである。

    (1)供与限度額は、1件につき5千万円であり、被供与国の文化・教育の振興のために使用される「資機材」並びにそれらの輸送及び据え付けのために必要とされる「役務」を購入するための資金を供与する。施設等の建設・修復や、セミナーやプロジェクトの運営費、人件費等の経費は対象としていない。
    (2)対象国は、世銀融資ガイドラインに基づき、グループ4までの国(平成10年度の場合、平成8年の一人当たりGNPが5,435米ドルまでの国)としている。
    (3)対象機関は、相手国政府機関ないし公共の機関あるいは団体としている。国際機関や民間の機関、個人は対象としていない。

  2. 最近の活動内容

    平成8年度では、アジア及び中南米諸国にそれぞれ30.2%、中近東諸国に15.1%、アフリカ及び東欧諸国にそれぞれ11.3%、大洋州諸国に1.9%を実施した(総額25億円)。平成9年度はアジア諸国及び中南米諸国にそれぞれ29.1%、東欧諸国に12.7%、中近東諸国に10.9%、アフリカ諸国に9.1%、大洋州諸国に5.5%、バルト諸国に3.6%を実施した(総額25億円)。
    平成8年度ではパレスチナ、南アフリカに、平成9年度では、ベリーズ、ヴァヌアツ、グレナダ、クロアチア、スワジランド、リトアニア、エストニアに、それぞれ初めて文化無償協力を実施した。
    平成9年度に実施した案件としては、タイの国立科学教育センターに対する視聴覚機材(5,000万円)、中国の天津テレビ局に対する番組制作機材(5,000万円)、チリのチリ大学芸術学部に対する楽器及び音響機材(5,000万円)、テュニジアの国立スポーツ医療センターに対するスポーツ医科学研究機材(4,990万円)、ルーマニアのヤシ国立歌劇場に対する音響機材(5,000万円)などがある。


BACK / FORWARD / 目次