移住投融資事業の概要と実績


  1. 設立経緯及び根拠・目的

    (1)経緯

    第二次世界大戦後海外からの引き揚げ者があり、また戦後直後のべビー・ブームもあって人口過剰が深刻となり、海外移住が国策として論じられた。この様な中、昭和30年(1955年)、日本海外移住振興会社が、移住を促進するために必要な①入植用土地の購入・造成・分譲、②移住者及び移住を促進する事業に対する投融資などを業務内容とする事業の実施を目的に設置された。移住融資制度は、この日本海外移住振興会社により1956年度よりブラジル、パラグァイ、アルゼンティン、ボリヴィア、ドミニカ共和国に日本から送出される主に自営開拓農業移住者を対象に開始された。戦後移住者の大多数は農業移住者として渡航し、移住先国でも奥地の原始林地帯に入植したが、奥地型農業は多額の資金を必要とする農業であったため、現地における信用も少なく、携行資金も乏しい移住者に対して資金を提供する必要性があった。日本海外移住振興会社は、1963年に移住実務の合理化のため、日本海外協会連合会と統合され、海外移住事業団が設立され、さらに同事業団は1974年国際協力事業団となったが、移住投融資制度はそのまま引き継がれてきている。

    (2)根拠

    本件融資は、日本海外移住振興株式会社時代には日本海海外移住振興株式会社法、海外移住事業団時代には海外移住事業団法に基づき、現在は国際協力事業団法(第1条、第21条第1項4号ヘ及びト)を根拠として実施している。

    (3)目的

    国際協力事業団法に規定された本件融資の目的は次の通りである。
    ―移住者若しくはその団体で海外において農業、漁業、工業その他の事業を行うものに対し当該事業に必要な資金を貸し付け、若しくは当該資金に係わる債務を保証し、又は当該事業のうち政令で定めるものに必要な資金を供給するための出資をすること。
    ―海外において農業、漁業、工業その他の事業であって移住者の定着及び安定に寄与すると認められるものを行う者(移住者及びその団体を除く)に対して当該事業に必要な資金を貸し付け、又は当該事業のうち政令で定めるものに必要な資金を供給するための出資をすること。

  2. 最近の活動内容

    平成8年度貸付実績は、パラグァイ49件、アルゼンティン42件、ボリヴィア41件、ドミニカ共和国6件総額約8.7億円、平成9年度貸付実績、パラグァイ52件、アルゼンテイン33件、ボリヴィア31件、ドミニカ共和国22件総額約10.l億円となっている。


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