開発協力事業(開発投融資を含む)の概要と実績
- 設立経緯及び根拠・目的
開発協力事業は、我が国の国際協力の一層の拡充、強化を図るため、政府ベース経済協力と民間ベース経済協力の連携及び資金協力と技術協力の結びつきを強化することをねらいとするものである。我が国民間企業等が開発途上地域等で行う海外事業活動で、当該地域の社会開発、農林業の開発及び鉱工業の開発に寄与する開発事業のうち、日本輸出入銀行及び海外経済協力基金からの資金供給が困難なものに対し、必要な技術と資金の提供等を行う事業。(国際協力事業団法第21条第1項第3号二及びホ(調査・技術指導業務)、同号イ及びロ(開発投融資業務))
開発途上国の自立的経済発展のために民間部門の果たす役割は極めて重要であり、途上国の社会基盤整備、企業振興、輸出促進等に資する我が国民間事業を支援し、あわせて当該途上国に対しこれら事業に必要な技術協力を行うことの意義は大きい。特に近年においては、開発途上国における「持続可能な開発」を達成するため環境保全に十分配慮して開発事業を行うことがますます重要となっており、このような観点から民間企業が活用し得る技術を開発し普及させる上で、本件事業は重要な意義を有する。
- 最近の活動内容
平成9年度の開発投融資業務の投融資実績は11.5億円、また調査・技術指導業務の実施件数は調査28件、専門家派遣39人、研修員受入34人であった。開発協力事業の種類と内容は次の通り。
(1)開発投融資業務:
- (イ)関連施設整備事業
開発途上地域等で我が国民間企業等が行う開発事業に関連して必要な施設で、周辺地域の住民の生活、福祉の向上に資する、公共性の高い施設(学校、病院、公民館、道路、港湾施設、上下水道、集会場など)の整備事業をいう。
(ロ)試験的事業
開発事業のうち試験的に行われる事業であって、技術の改良又は開発と一体として行わなければ、その達成が困難な事業。具体的な例としては、農業分野の栽培試験、家畜等の飼養試験、林業分野の造林試験、未利用樹加工試験、鉱工業分野の原料炭、燐鉱石などの開発、採掘練試験、社会開発分野の低価格住宅の建設などがある。
(2)調査・技術指導業務
- (イ)調査
- (a)開発基礎調査:
開発投融資の対象となりうる開発事業について、資料収集や現地踏査を行い、事業の可能性を検討し、開発の基本計画や事業計画を立案する調査。
(b)投融資審査等調査:
現地において、JICA資金の適正使用を審査し及び事業の実施状況を把握する調査。
(c)現地実証調査:
我が国民間企業の海外投融資事業のうち、技術・データ等がないため直ちに事業化することが困難なものについて、現地において基礎的データを収集し技術的可能性を実証する調査。
(d)地域開発効果等評価調査:
一定期間経過した投融資案件についで、当該事業が地域の社会・経済開発にどのように寄与しているか等を測定し、地域開発効果に何らかの阻害要因がある場合には、その軽減・除去のための方策を探る調査。
(e)環境保全関連開発投融資促進調査:
開発途上国では経済開発が優先され環境保全が二次的なものとされる傾向があることに対応するため、環境保全案件の発掘形成を行う調査。
(ロ)技術指導
- (a)専門家派遣技術指導:
投融資対象事業及び一般の開発事業対象に本邦企業等の要請に基づき、現地において技術指導を行う。
(b)研修員受入技術指導:
投融資対象事業及び一般の開発事業を対象に、本邦企業等に基づき、研修員を受入れ、技術指導を行う。
BACK / FORWARD / 目次 |