海外経済協力基金(OECF、円借款)の概要と実績
- 設立経緯及び根拠・目的
海外経済協力基金(以下「基金」という。)は、東南アジア地域その他の開発途上にある海外の地域(以下「開発途上地域」という。)の産業の開発又は経済の安定に寄与するため、その開発又は安定に必要な資金で日本輸出入銀行からの貸付けその他の信用の供与及び一般の金融機関からの供給を受けることが困難なものについてその円滑な供給を図る等のために必要な業務を行い、もって海外経済協力を促進することを目的としている。
基金は、海外経済協力基金法(昭和35年12月27日法律第173号)により昭和36年3月16日に設立され、同日から業務を開始した。
- 最近の活動内容(実績数字はすべて借款契約(L/A)ベース)
基金は、開発途上地域の政府・政府関係機関等に対し、経済・社会開発若しくは経済の安定に必要な資金を直接融資する円借款業務と、本邦企業、現地企業等が開発途上地域で実施する開発事業等に必要な資金をこれら企業等に対して融資又は出資する海外投融資業務を行っている。
ちなみに円借款の承諾額は、96年度が1兆2,713億円、97年度が1兆286億円(対前年度比19.1%減)となっており、同実行額は、96年度が6,100億円、97年度が6,457億円(対前年度比5.8%増)となっている。また、円借款の残高は、97年度末現在で91,810億円に上っている。(参考)
- [借款条件]
97年度に円借款の供与条件を緩和した結果、同年度に承諾された円借款の平均金利は2.34%、償還期間の平均は29年6カ月(うち据置期間9年5カ月)となっている。この結果、円借款の供与条件の緩やかさを示す指標であるグラント・エレメントは62.1%(97年度承諾ベース)となり、過去最高となった。
97年度中に承諾された円借款の調達条件については、前年度に引き続き100%アン夕イド(調達先を日本企業に限定しない。)であり、このうち、調達先に一切の制限がない一般アンタイドの比率は99%であった。こうした条件の下で、日本企業からの外貨による調達は27.9%、内貨費用融資分を除いた外貨建て調達部分における日本企業からの調達は40.8%であった。
- [地域別実績]
97年度の円借款の地域別承諾状況は、アジア83.6%、アフリカ4.3%、中南米9.0%、中近東0.7%、オセアニア・東欧・その他2.4%となっている。また、トルクメニスタン、グルジア、フィジー、アゼルバイジャン及びルーマニアの5カ国に新規供与を行った結果、円借款供与実績国は90カ国に達し被供与国の一層の多様化が見られた。
- [部門別実績]
97年度の円借款承諾額の部門別構成は、運輸31.4%、電力・ガス28.0%、潅概・治水8.7%、通信3.0%等の経済インフラが全体の71.1%と従来と同様に大きな割合を占めた。
- [環境問題への取り組み]
環境問題においては、供与条件の緩和等から、円借款に対する期待が益々高まっており、97年度の環境案件承諾実績は26件、2,123億円(承諾額全体の20.6%)となった。具体的には、温暖化対策に代表される地球環境問題対策案件や我が国が世界から注目される経,験と専門性を有する公害対策案件といった一定の環境案件、及び実施の際に環境配慮を必要とする円借款案件のコンサルタント部分を対象とする特別な優遇条件が97年9月に導入され、さらに同年12月に拡充強化された。また、95年8月に改訂された「環境ガイドライン」が97年8月以降日本政府に対して要請される案件に適用され、円借款事業における環境配慮の強化を図っている。
BACK / FORWARD / 目次 |