欧州復興開発銀行(EBRD:European Bank for Reconstruction and Development)の概要と実績


  1. 設立経緯及び根拠・目的

    EBRDは、複数政党制民主主義、多元主義及び市場経済の諸原則に基づき、市場指向型経済への移行に取り組む中東欧諸国を支援することを目的として、1991年4月に設立された。1998年3月現在で58か国及びEC、欧州投資銀行(EIB)が加盟、我が国は1991年の設立時に加盟している。

  2. 最近の活動内容

    (1)融資額、分野別シェア

    EBRDの融資は市場金利ベースで実施されており、コミット総額については1996年が2,188百万ECU、1997年が2,315百万ECUとなっている。これを分野別(1997年)に見ると、製造業部門が640百万ECU(総額比27.6%)、金融部門が591百万ECU(同25.5%)、エネルギー・発電部門が497百万ECU(同21.5%)、運輸部門が214百万ECU(同9.2%)、通信部門が144百万ECU(同6.5%)となっている。

    (2)金融セクターに対する支援

    市場経済移行において、EBRDは金融セクターの育成を重視しており、地場金融機関への直接的な出資や、クレジットライン及びエクイティー・ファンドへの出融資(ホールセール・オペレーション)を通じて、当該機関の経営能力強化を進めている。特に、ホールセール・オペレーションについては、地場金融機関の中小企業に対する融資能力強化を支援しつつ、中小企業の育成にも貢献している。

    (3)民営化支援

    旧社会主義国の民営化支援に当たっては、主にエクイティー・ファンドの形態により、民営化された企業に対する出資を行っており、併せて経営能力強化に係る技術支援も行っている。また、将来民営化が計画されている公企業に対して、市場ベースでの資金調達を可能とするためのリストラ支援等も行っている。

  3. 我が国との関係

    (1)意思決定機構における我が国の位置づけ

    最高意思決定機関は、各加盟国の総務により構成される総務会であり、我が国は大蔵大臣が総務に任命されている。また、融資の承認等の日常業務の決定は23人の理事(EU諸国から11名、中東欧の受益国から4名、その他の欧州の国から4名、及び欧州の国以外の国から4名)からなる理事会で行われており、我が国からは単独で理事が選出されている。

    (2)事務局における邦人職員

    専門職564人のうち日本人は10名(1997年12月現在)。

    (3)財政負担

    授権資本200億ECUのうち、我が国の出資額は約17億ECU(シェア8.5%)であり、米に次いで、仏・独・英と並び加盟国中第2位である。

    (4)日本特別基金

    日本・欧州協力基金(1991年創設)

    1996年度拠出約20億円
    1997年度拠出約18億円
    使途EBRDの行う技術協力等の活動支援

    日本ポストコンフリクト支援基金(1997年創設)

    1997年度拠出10億円
    使途EBRDの行うボスニア・へルツェゴヴィナ等のEBRD支援対象地域における紛争関係国の戦後復興を目的とする技術協力等の活動支援

    (5)我が国ODAとの協調実績

    1996年度、1997年度中の我が国機関によるEBRDとの協調融資総額は、それぞれ12,840百万円及び116百万ドル。内訳は、海外経済協力基金が、1996年度のアルバニア送配電網整備事業(3,124百万円)、日本輸出入銀行(注)が、1996年度のウズベキスタン・フェルガナ製油所改善プロジェクト(9,716百万円)、1997年度のロシア・サハリン2油田開発プロジェクト(116百万ドル)となっている。

    (注)日本輸出入銀行による支援はODA(政府開発援助)ではなくOOF(その他の公的支援)

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