水産無償の概要と実績


  1. 設立経緯及び根拠・目的

    1960年の第二次国連海洋法会議を契機として、開発途上国をはじめとする多くの沿岸諸国は、1960年代後半より、自国200海里漁業専管水域の設定、同水域内漁業資源の権利主張の姿勢を強める一方、世界各水域で漁業を展開している我が国に対して多岐にわたる数多くの漁業脇力を積極的に要請するようになってきた。
    このような要請に応えて、水産関係プロジェクトに対して無償資金協力を行うことは、開発途上国の経済及び社会開発に寄与するとともに、漁業面における従来からの友好協力関係の維持・発展に役立ち、極めて有意義なことから、1973年度に外務省の経済開発等援助費に水産無償予算が計上されることとなった。
    近年、開発途上国の人口増加と食料供給の問題が懸念されるようになっていることに加え、1994年に国連海洋法条約が発効したことを受け、開発途上国における水産資源の有効利用の重要性は、益々高まってきている。このような状況の中、EUや米国も開発途上国の漁業を対象とした経済協力を積極的に推進しており、我が国としても漁業面における従来からの友好協力関係の維持・発展を図るため、引き続き、水産無償資金協力を積極的に実施してきているところである。

  2. 最近の活動内容

    平成8年度は、アフリカ、大洋州等に対し、漁港整備、調査船、養殖試験施設、冷凍・冷蔵庫等を対象として計12件、供与金額総計で107.15億円の水産無償資金協力を実施した。
    平成9年度は、アフリカ、中南米諸国等に対し、漁港整備、訓練船、冷凍・冷蔵庫及び研究施設等を対象として計13件、供与金額総計で106.7億円の水産無償資金協力を実施した。
    また、水産無償資金脇力の効果的実施を図るため、他ドナーとの連携、技術協力との連携等にも努めているところであり、最近では、エリトリアにおける「南東部零細漁業開発計画」のFAO専門家との連携、マラウイにおける「マラウイ大学農学部水産学科施設整備計画」のプロジェクト方式技術協力との連携があるほか、多国間に稗益する案件として、フィジーに本部を置く南太平洋大学(大洋州に所在する12ケ国・地域が加盟)を対象とした「南太平洋大学海洋研究施設整備計画」等がある。


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