国連開発計画(UNDP:United Nations Development Programme)の概要と実績
- 設立経緯及び根拠・目的
1966年1月1日、国連システムにおける技術協力活動の中核的資金供与機関として、1965年の第20回国連総会決議2029に基づき、それまでの「国連特別基金」及び「拡大技術援助計画」が統合されて設立された。
UNDPの任務は、国連憲章第55条の理念に基づき10年毎に国連総会で採択される「国連開発の10年」(現在は1991―2000年の第4次)の開発戦略を指針にして、開発途上国及び市場経済移行国における持続可能な開発の実現を多角的に援助することにある。
また、UNDPは技術協力活動の他に、国連総会が設立した「国連資本開発基金(UNCDF)」、「国連天然資源探査回転基金(UNRFNRE)」、「国連女性開発基金([JNIFEM)」の技術協力基金の管理も行っている。
- 最近の活動内容
UNDPは1994年以降、「持続可能な人間開発」(Sustainable Human Development)を基本原則に掲げ、この原則の下、貧困撲滅、雇用促進、女性の地位向上、ガバナンスの確立及び環境保全の5分野を重点目標に定めて援助活動を行ってきている。中でも貧困撲滅を最重要課題に位置づけ、コアファンドの90%を一人当たり国民所得が750ドル以下の途上国、特にアフリカ諸国支援に割り当てている。98年には、我が国はUNDP等と共催で第2回アフリカ開発会議(TICAD2)を開催することになっている。
また、国連環境開発会議のフォローアップとして、途上国の環境問題への対応能力を涵養するために、「キャパシティ21計画信託基金」を通じ、この分野での活動強化を図っている他、国連開発グループの中核として、近年UNDPは地雷除去活動等、紛争後の開発問題にも積極的に取り組んでいる。
- 我が国との関係
我が国は、UNDPの広範なネットワークとその専門的知識・経験に基づく中立的援助を評価するとの立場から、UNDPに対し積極的に資金協力を行ってきており、1997年現在、我が国はUNDPのコアファンドに対し、第1位の拠出国となっている(因みに97年度の我が国のコア・ファンド拠出金は、103,271千ドルで全コアファンドに占める率は12.9%)。
また、我が国はコアファンド以外にも、「人造り基金」や「WID基金」、「パレスチナ開発基金」等の我が国独自の基金に拠出を行い、南南協力を含めて、途上国の人造りをはじめ、様々な開発の分野で、我が国の顔が見える援助を行ってきている。平成8年度及び9年度における「人造り基金」への拠出額は、南南協力分200万ドルを含め各450万ドルで、この資金を活用して、フィリピンの地方環境マネージメントプロジェクトやパキスタンのゴミ処理計画を支援してきている。
なお、UNDPに勤務する邦人職員数は、97年現在36人でUNDP全体の4%弱に過ぎず、我が国の拠出率に比し大幅なアンダー・リプリゼンテーションとなっている。
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