国連環境計画(UNEP:United Nations Environment Programme)の概要と実績
- 設立経緯及び根拠・目的
国連環境計画(UNEP)は、1972年6月ストックホルムで「かけがえのない地球」を合い言葉に開催された国連人間環境会議で採択された「人間環境宣言」及び「環境国際行動計画」を実施に移すための機関として、同年の国連総会決議に基づき設立された。同機関は、既存の国連諸機関が行っている環境に関する諸活動を総合的に調整管理するとともに、国連諸機関が着手していない環境問題に関して、国際協力を推進していくことを目的としている。
ナイロビ(ケニア)の本部のほか、6ヶ所の地域事務所及びいくつかのセンターがある。職員は約300名、事務局長はクラウス・テプファー氏(独)。
- 最近の活動内容
UNEPは、各国の大気や水質の環境データをとりまとめ、1997年に地球環境概観(Global Environment Outlook)として公表した。また、オゾン層保護のためのウィーン条約、オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書、生物多様性条約等、これまでに環境関係の国際条約作成を積極的に進めており、96年からは、98年策定に向け特定有害化学物質等の国際取り引きに関する事前同意制度(PIC)の条約化に取り組んでいる。
- 我が国との関係
(1) UNEPの意思決定機構として管理理事会があり、我が国はUNEP設立以来一貫して管理理事国(任期4年)に選出(最近では97年)されている。
また、1995年の管理理事会において、管理理事会を補完し、UNEP事務局長を補佐する機関としてハイレベル委員会が設置され、我が国はハイレベル委員会のメンバーにもなっている。(2) 日本人職員は、96年末現在8人。 (3) UNEPの活動は、主として各国の任意拠出であるUNEP環境基金への拠出により賄われており、我が国は、95年及び96年にはそれぞれ900万ドルを拠出している。我が国の拠出は、90年から96年の合計額としては米国に次いで参加国中第2位(12.08%。なお米国は22.1%)である。 (4) 我が国は、1990年のヒューストンサミットにおいてUNEP国際環境技術センターの誘致を表明し、同センターは、1991年の第16回UNEP管理理事会において設置が決定され、大阪及び滋賀に設置された。我が国は、同センターの活動を支援するための基金に95年及び96年にそれぞれ250万ドルを拠出している。
- UNEP関連条約等との関係
UNEP等が触媒となって発効した環境関係の国際条約の条約事務局の活動(締約国会議の開催費用、対策のためのプログラムの実施等)を支援するためのために我が国は拠出を行っている。95年及び96年の2ヶ年の拠出状況は以下のとおり。
(1)オゾン層保護関係(ウィーン条約、モントリオール議定書、多数国間基金)
約4500万ドル
(2)水鳥湿地保全関係(ラムサール条約)
約60万スイス・フラン
(3)温暖化防止対策関係(気候変動枠組み条約)
約210万ドル
(4)生物多様性関係(生物多様性条約)
約310万ドル
(5)有害廃棄物関係(バーゼル条約)
約170万ドル
(6)砂漠化対処関係(砂漠化対処条約)
約150万ドル
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