国連工業開発機関(UNIDO:United Nations Industrial Development Organization)の概要と実績
- 設立経緯及び根拠・目的
1966年の国連総会において開発途上国の工業化を促進することを目的として採択された決議に基づき、1967年1月1日、総会の補助機関として発足。その本部は、設立以来ウィーンに置かれている。
1986年、UNIDO憲章の発効に同意する旨の通告をした国が80ヵ国以上に達したことにより1986年1月1日をもって国連専門機関として独立。
UNIDO憲章によれば、その目的は、経済に関する新たな国際秩序の確立に資するため、開発途上国における工業開発の促進及び加速を図ることを主要な目的とする。また、世界的、地域的及び国家的規模にて、工業開発及び工業協力を推進することである。
- 最近の活動内容
開発途上国における工業化政策、工業計画の立案・企画等についての助言及び勧告、専門家派遣による開発途上国での直接技術指導及び開発途上国の工業化促進に必要とされる先進国資本及び関連技術の斡旋などを実施。地域的には主にアフリカ地域のLDCを重視するが、中南米や移行経済地域も支援。
加盟国の分担金によって賄われる事務局通常予算は、96年約1億3百万ドル、97年約7,800万ドル。97年予算は米国の脱退により、96年比25%の削減を余儀なくされた。また、技術協力費は96年実績で約9,100万ドル。右予算は通常予算とは別に各加盟国などからの任意拠出によって賄われている。
なお、米国や豪の脱退を背景に、UNIDOに対しては、97年当初より各メンバー国は改革を強く求め、97年6月に今後のUNIDOの活動計画について廃止すべき分野を含む「ビジネス・プラン」を工業開発理事会において採択し、活動分野を絞り込む決定を行った。また、次期98/99年予算については、97年比で約20%削減する予算案がUNIDO総会で決議される等改革に取り組んでおり、加盟国の支持を得てきている。
- 我が国との関係
(1) 我が国は、発足以降継続してUNIDOの工業開発理事会及び計画予算委員会のメンバー国である。米国の脱退後、UNIDOにおける第1位の分担金負担国となった我が国は、財政支援に見合う政策面でのリーダーシップを確立すべく上記「ビシネス・プラン」策定に当たっても議論をリードしており、我が国の対応は、他の加盟国からも注目されている。 (2) 本部邦人職員は、丸野投資・技術促進部長をはじめ16名。 (3) 我が国は以下の財政貢献を行っている。
(イ) 通常予算の分担金は、96年約1,670万ドル(分担率21.45%)、97年約l,700万ドル(分担率21.75%)。 (ロ) 我が国信託基金は、主としてアフリカのLDC諸国での工業開発に関するプロジェクトのため任意拠出しているもの。外務省の所管で、96年度は180万ドル、97年度は120万ドル拠出。 (ハ) 工業開発基金に対する拠出は、主として我が国より途上国への投資が促進されることを目的としているもの。96年度は約4億2,600万円及び97年度は約3億8,300万円田本円)拠出。なお、UNIDO東京投資促進事務所(IPS)は、右拠出金により運営されており、発展途上国の投資案件の紹介、発展途上国の投資促進ミッションの招聰、セミナーの開催等を実施。
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