国際交流基金(Japan Foundatlon)の概要と実績


  1. 設立経緯汲び根拠・目的

    1970年代初め、日本と海外との文化交流事業の必要性が内外で高まる中で、大規模な基金を有し、かつ強力な実施組織を備えた文化交流機関として、その設立準備が始められ、1972年10月、国際交流基金法に基づく特殊法人として設立された。
    本基金の目的は、国際交流基金法第1条により、「わが国に対する諸外国の理解を深め、国際相互理解を増進するとともに、国際友好親善を促進するため、国際文化交流事業を効率的に行い、もって世界の文化の向上及び人類の福祉に貢献することを目的とする。」と定められている。

  2. 最近の活動内容

    本基金は、わが国初の国際文化交流の中枢を担う専門機関として、学術、日本研究から日本語教育、芸術、出版・映像メディア、スポーツ、生活文化まで幅広い分野で、人の交流を基本とした文化交流事業を実施している。
    開発途上国との交流事業の予算は、1996年度に85億9,500万円、1997年度は86億5,200万円であり、事業分野別での上位3分野は、海外における日本語教育・日本研究への支援(50%)、人の交流(16%)、アジア交流(14%)の順となっている。
    日本語教育・日本研究支援は、海外の日本語教育・日本研究機関への日本人専門家の派遣、日本語教師・日本研究者の招へい、会議・リサーチへの助成、日本語教材・図書の寄贈等を行っているもので、1996年度は784人、1,151件の実績である。とくに中国については、1985年以来、中国において日本語教育・日本研究を担う人材を養成する目的で、中国国家教育委員会との合意に基づき北京日本学研究センターを運営しており、同センターでの修士課程修了者・日本の博士課程への進学者は、200人に達している。また、本基金が海外で毎年実施している日本語能力試験を、97年度は我が国ODA対象国において59,199人が受験した。
    人の交流は、様々な分野の専門家・グループの国際会議、共同研究、指導等のための派遣・招へい、伝統スポーツ指導者の派遣、海外の中学・高校教員のグループ招へい、日本文化紹介のための文化人・公演グループの派遣等を行っており、1996年度には823名の交流を実施・援助した。
    また、1995年10月に設置したアジアセンター事業部では、アジア地域の知的交流推進、アジア各国の文化振興支援、日本におけるアジア理解促進を総合したアジア交流事業を行っており、具体的には、知的交流のためのセミナー・会議等の開催、共通課題を扱う共同研究への協力、文化財保存をテーマとするセミナー・シンポシウムの開催や人材育成、伝統文化振興の担い手育成事業への助成、アジア文化を日本に紹介するための各種催しの実施、アジア理解講座の開講等で、1996年は153件の実績となっている。
    この他、1996年度には、中南米、中近東、アフリカ諸国への長編ドラマ・ドキュメンタリー番組の提供、東欧諸国での国際図書展への参加協力、各地域諸国での小規模展覧会の巡回等を行い、1997年度には、シンクロナイズド・スイミングの大型スポーツミッションの南米諸国への派遣、アフリカの民族音楽グループの招へい公演、アジア諸国の博物館・美術館専門家による国際シンポジウムの開催、アジアの舞台芸術専門家の交流・研修事業等を行っている。

平成8年度地域別事業実績

  累積数
昭47~平成7
平成8年度
実績数
東アジア 東南アジア 南アジア 大洋州 北米 中南米 西欧 東欧 中近東 アフリカ 国内 区分困難
【人物交流】                            
 長期派遣(人) 1,139 143 4 14 12 8 6 16 12 51 5 15
 短期派遣(人) 7,215 578 55 85 44 14 35 67 150 60 47 21
 地域・草の根交流派遣(件) 109 39 28 13 1
 長期招へい(人) 3,771 157 25 16 15 5 42 6 20 17 6 5
 短期招へい(人) 2,515 99 12 11 5 2 10 9 30 13 4 3
 中学・高校教員招へい(人) 4,560 282 28 65 17 13 5 21 64 49 14 6
 その他グループ招へい(人) 3,412 161 15 6 2 16 24 5 51 38 2 2
【海外における日本語教育】                            
 日本語教育専門家派遣(人) 2,766 136 20 68 8 10 2 4 8 7 4 5
 日本語教育巡回指導派遣(人) 18 58 54 2 1 2 1
 青年日本語教師派遣(人) 220 49 7 16 10 16
 海外日本語教師訪日研修(人) 3,143 372 129 71 7 76 15 26 15 29 4
 海外日本語学習成績優秀者研修(人) 2,451 224 34 37 17 17 23 31 37 19 4 5
 外交官日本語研修(人) 123 24 6 2 1 5 5 2 3
 司書日本語研修(人) 75 10 8 1 1
 日本語教育フェローシップ(人) 55 19 5 3 1 1 2 3 3 1
 海外日本語講座選任講師給与助成(件) 347 33 3 3 4 14 2 4 2 1
 海外日本語講座現地講師謝金助成(件) 2,848 117 3 15 15 2 9 48 12 4 3 6
 海外日本語弁論大会助成(件) 1,026 89 6 8 11 15 20 15 4 5 2 3
 日本語能力試験
 (国内・海外合計)
541,453 96,140 49,447 8,980 1,421 1,378 741 6,310 2,175 161 145 25,382
 日本語教材制作(件) 249 18 7 1 3 2 2 2 1 4
 日本語教材寄贈
 (~昭和57:冊)
219,680
 (昭和58~:件) 9,531 1,496 146 183 67 297 278 156 230 111 19 9
 日本語教育器材寄贈(~件) 84 26 26
【海外における日本研究】                            
 日本研究講座への教授派遣(人) 1,316 40 3 11 2 1 3 5 6 5 2 2
 日本研究講座講師等招へい(人) 223 9 4 2 2 1
 日本研究に対する助成(件) 2,165 139 25 22 1 8 33 5 29 14 1 1
 拠点整備支援(件) 36 5 1 4
 図書寄贈(件) 4,692 346 36 32 17 24 42 35 85 49 17 9
 文化啓発用資料購入・頒布(件) 413 17 1 2 14
【展示・公演】                            
 国際展参加(件) 71 2 1 1
 国内展主催・助成(件) 109 17 3 3 1 1 2 1 1 7
 海外展主催・助成(件) 674 58 5 6 2 3 15 8 20 11 5 2
 海外公演主催・助成(件) 804 68 7 3 2 3 22 10 40 17 2 2
 国内公演主催・助成(件) 178 25 14 5 2 1 4 3
 アジア舞台芸術家交流研修事業(件) 2 3 3
【国際交流会議】                            
 国際会議主催・助成(件) 266 48 12 2 34
【出版物による交流】                            
 図書資料作成・出版(件) 268 40 40
 出版援助・翻訳援助(件) 877 54 13 3 2 1 4 1 14 10 1 5
【視聴覚メディアによる交流】                            
 劇映画の配布 (本) 2,144 152 5 15 5 5 15 19 5 5 5 73
 文化映画の配布 (本) 2,965 45 2 4 2 2 6 7 14 2 2 4
 テレビ番組交流の促進(件) 395 28 2 6 2 1 1 6 3 3 4
 国際映画祭等参加(件) 444 66 3 5 3 1 11 10 25 4 3 1
 映画制作助成(件) 134 18 1 1 1 7 1 5 1 1
【日米センター事業】                            
 知的交流(助成)(件) 311 59 59  
 地域・草の根交流(助成)(件) 282 44 44  
 フェローシップ(人) 148 29 29  
【アジアセンター事業】                            
 アジアセンター知的交流
 ・文化振興事業主催・助成(件)
98 126 19 50 14 7 36
 国内シンポジウム等主催(件) 20 2 1 1
 国内公演主催(件) 19 2 1 1
 国内展主催(件) 37 2 2 1 1
 国内映画上映会(件) 28 6 3 3 2
 アジア理解講座(件) 9 15 6 6 6

実績件数のカウント方法

  1. 複数地域にまたがるプロジェクトは、それぞれの地域で1件としてカウントしているため、総実績数と一致しない場合がある。
  2. 複数年度にまたがる継続案件はそれぞれの年度の事業としてカウントしている。
  3. アジアセンター事業については、平成6年度までの実績はアセアン文化センター事業の実績を記載している。

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