国際開発協力関係民間公益団体(NGO事業)補助金の概要と実績
- 設立経緯及び根拠・目的
(1)制度の経緯・目的
NGOによる開発協力活動は、途上国国民の自立を促し、草の根レベルでの協力を実施できる柔軟、迅速かつきめ細かい対応ができる等の利点があり、また、国民参加による開発協力を推進する見地からも重要な役割を果たしている。しかし、我が国のNGOは歴史も浅く、安定した財政基盤の上で開発協力事業等を幅広く展開するには制約を受けている。
一方、我が国のNGOに対する途上国からの協力要請は年々増加し、自ら開発協力事業を行うNGOからODAの活用に強い要望が出されていた。そのため、平成元年度より、我が国のNGOが途上国で行う開発協力活動に対し、その事業の一部を補助するNGO事業補助金制度が設けられた。(2)制度の概要
- (イ)実施要領
① 本補助金は、「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和30年法律第179号)」に基づき実施される。
予算額は、平成元年度約1億1千万円、2年度には倍額の2億2千万円、3年度には27%増の2億8千万円、4年度には21%増の3億4千万円、5年度には29%増の4億4千万円、6年度には23%増の5億4千万円、7年度には41%増の7億6千万円、8年度には32%増の10億円、9年度においては20%増の12億円、また、10年度においては約11意5千万円となっている。② 本補助金の申請は、NGOより外務大臣(経済協力局民間援助支援室)に対して行われ、外務省において下記の諸条件等に基づき申請事業が審査され、補助金の交付が決定される。 (ロ)供与額
① 本補助金の1件当たりの供与額は、原則として50万円(国際ボランティア補償支援については10万円)以上1500万円程度とし、交付要綱に定める補助対象事業(メニュー事業)に基づきNGOが申請した事業に対し、補助金を決定する。 ② 補助金額は、当該総事業費の2分の1以下かつ補助金交付要綱に定める補助対象以内で、外務省が定めた金額となる。 (ハ)補助対象事業(平成9年度)
① 農漁村開発 農村自立支援、農村改善支援、漁村自立支援、専門家等派遣 ② 人材育成 託児所建設、貧困地区学習援助、学校建設、図書館建設、専門家等派遣 ③ 女性自立支援 女性自立支援センター建設、自立支援研修、専門家等派遣 ④ 保健衛生 保健衛生改善、保健・啓発プロジェクト、専門家等派遣 ⑤ 医療 医療診察、身体障害者復帰対策、専門家等派遣 ⑥ 地域産業向上 職業訓練所建設、青少年職業訓練計画、産業振興施設建設、専門家等派遣 ⑦ 生活環境 井戸建設、生活改善指導センター建設、給排水対策、専門家等派遣 ⑧ 環境保全 造植林、専門家等派遣 ⑨ 民間援助物資輸送 民間援助物資輸送 ⑩ 地域総合振興 地域総合振興 ⑪ 開発協力適正技術移転・普及 開発協力適正技術移転・普及 ⑫ 国際ボランティア補償支援制度 国際ボランティア補償支援 (ニ)対象事業の選定基準
① 政府レベルのODAでは対応困難な草の根レベルの事業で、途上国住民に人道的配慮がなされており、経済・社会開発、民生の安定につながること。
(我が国NGOが途上国NGO、政府等と協力して行う事業も対象とする)② 地域社会のニーズがより良く把握されていること。 ③ 地域住民の自助努力による自立を促し、地域住民の参加があること。 ④ 援助の利益が対象地の女性にも行き渡るよう配慮されていること。 ⑤ 草の根無償資金協力事業との二重申請案件ではないこと。 ⑥ 日本国政府より他の補助金を受けていないこと。 (ホ)対象国
原則として
① 世銀ガイドラインによるIDA(国際開発協会)適格の所得水準の開発途上国であること(平成9年度においては、95年の国民一人当たりのGNPが、1,465ドル以下の国) ② 本補助金事業を実施した場合に援助効果が期待される開発途上国であること。 (へ)補助対象団体
我が国のNGOで、原則として次の要件をみたす団体。
① 団体の活動は、開発途上国における開発協力事業を主目的とすること。 ② 団体の年間の開発協力事業費が100万円以上で、過去2年間以上に亘り、自ら人員を派遣し補助対象事業に準じた事業の活動実績を有すること。 ③ 団体は、適正化法に基づき当該事業の実施・管理能力を有すること。 (ト)公募手続き
毎年度当初、公募により補助金申請の受付を行う。公募は官報に告示する。
- 最近の活動内容
平成8年度においては、132団体、215事業に約817百万円を交付し、事業別には、医療事業、人材育成事業が、地域別では、アジア地域、アフリカ地域が多くなっている。また、開発途上国の複合的な援助ニーズへの効果的対応を目指した、地域総合振興事業を創設した。
また、平成9年度においては、116団体、224事業に約919百万円を交付し、事業別には、医療事業、地域総合振興事業、人材育成事業が、地域別では、アジア地域、アフリカ地域が多い。
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