開発調査事業の概要と実績


  1. 設立経緯及び根拠・目的 開発調査事業とは、開発途上国の社会、経済発展のための公共的な開発計画に対し、開発途上国からの要請に基づき専門家及びコンサルタントからなる調査団を派遣し、現地におけるデータ収集及び国内における分析作業を通じて、開発計画の推進に寄与する計画を策定し、報告書を作成するものである(国際協力事業団法第21条第1項第1号ホの「基礎的調査」に該当)。
    目的と意義は、次の通りである。

    (1)適正な開発計画の策定:
    開発調査は、対象プロジェクトについての調査報告書を作成し、相手国に提出することにより開発途上国の社会経済発展の基盤整備(国造り)に資する。
    (2)技術移転:
    調査の過程において、現地での技術指導、研修員受入れ及びセミナー等を通じて技術移転を行い、開発途上国の技術者(カウンターパート)の育成(人造り)に貢献するものである。
    (3)開発調査事業の成果品である調査報告書は、我が国に対する円借款や無償資金協力、あるいは他のドナーに対する資金協力の要請にあたっての必要不可欠の基礎資料となるものであり、この点から技術協力と資金協力の接点をなす。

  2. 最近の活動内容

    平成9年度は、各種の調査併せて合計312件を実施した。そのうちアジア地域がほぼ半分、次いでアフリカ地域が約6分の1を占めている。
    なお、主な事業の種類と内容は次の通りである。

    (1)マスタープラン調査(M/P):

    各分野にまたがる大型総合プロジェクトあるいは特定地域・分野の全体の開発プロジェクトに対し、開発計画の最初の段階として、開発可能性を評価し、各個別事業の相互関連及び投資優先順位を明らかにする開発基本構想(マスタープラン)を作成する。

    (2)フィージビリティ調査(F/S):

    農業、工業、社会的インフラ等の個別事業の技術的な可能性、投資効果を調査し、費用/便益を比較し、その社会的、経済的、技術的、財政的実現妥当性を証明することを目的としており、F/Sレポートは開発途上国がその事業の実施の決定につき判断し、我が国等へ融資申請をするための基礎資料ともなる。

    (3)実施設計調査(D/D):

    開発調査事業の中で実施される最終段階の技術協力であり、既に資金手当てが確実となったものについて工事着工に必要な設計図、積算書、入札関係書類等の作成を行う。

    (4)基礎・資源調査:

    (イ)地形図作成調査:

    各種開発計画を策定するにあたり基礎的資料となる国土基本図及び都市基本図を作成する。

    (ロ)地下水開発調査:

    開発途上国の一般国民の生活に必要不可欠な飲料水、生活用水の確保を目的として、物理探査、電気探査等により地下水賦存状況を調査するとともに、地下水利用基本計画を策定する。

    (ハ)資源調査:

    林業資源及び水産資源、鉱物資源等の賦存状況を把握し、資源の管理及び保全に資するための調査。

    (5)いわゆる「ソフト型調査」

    最近の傾向としては、例えば技能技術者供給計画、橋梁管理マスター・プラン、農協組織強化計画、交通システム等の市場経済化計画、環境対策計画等、必ずしも上記M/P,F/S等の分類になじまないソフト・ウェアに重点を置いた調査の需要が増加している。

    (参考)市場経済化支援調査

    市場経済化の導入・定着に向けて努力している旧杜会主義諸国や、経済自由化に基づく経済構造調整に取り組んでいる開発途上国を対象に、それらの政策の推進を支援するために、国営・公営企業体の民営化や金融・財政制度の改革・法制度整備等、新たな経済システムの構築に係る調査を実施し、その実行計画を策定する調査。

開発調査事業 地域別 分野別実績

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(注)分類内訳

公益事業:電気(発電、配電網)、ガス、上水道
建  設:都市計画、河川、水資源、砂防、住宅、地形図作成
運  輸:交通計画、海運、船舶、鉄道、港湾、空港、道路、橋梁
通  信:電話網、放送
農林水産:灌漑、圃場整備、農業、畜産、造林、水産関連施設、資源調査
鉱 工 業:プラント建設、資源調査
そ の 他:総合開発、政策支援、厚生、環境

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