プロジェクト方式技術協力の概要と実績


  1. 設立経緯及び根拠・目的

    (1)プロジェクト方式技術協力は、開発途上国が必要とする分野の技術移転及び技術の普及を行い、相手国の人造りに協力することを目的とする技術協力事業の一つである。その協力形態は、①専門家派遣、②研修員受人れ、③機材供与という3つの要素をーつの事業計画(プロジェクト)として統合し、その立案から実施、評価までを一貫して計画的かつ総合的に運営、実施するものである。
    (2)プロジェクト方式技術協力は、日本側と開発途上国側との共同事業として実施されるので、両者の責任分担や付帯条件等については、わが方が派遣する実施協議調査団が署名・交換する討議議事録(R/D:Record of Discussions)において明示される。この場合、原則として開発途上国が土地、建物、プロジェクトの運営費を負担することになっているが、近年は、プロジェクトの拠点となる建物施設等をわが方の無償資金協力で建設するケースが増えており、専門家の現地における技術移転・普及活動を活性化するための支援経費も積極的に投入している。
    (4)プロジェクト協力期間中は、協力実施計画及び年次計画に従って専門家を派遣し、機材を供与し、研修員(カウンターパート)を受入れる。このように計画的かつ集中的にプロジェクトを実施することにより、効果的な技術移転が行われ、途上国側が独自でさらに移転された技術を普及し、もって当該国の開発に資することが期待される。なお、我が国の協力終了時には、協力の目標達成度、成果、自立発展性等を評価する調査団を派遣する。右結果に基づき、要すれば、協力期間の延長、フォローアップあるいは次フェーズの新たな協力開始等を検討する。
    (5)プロジェクト方式技術協力の協力期間については、政治・社会・経済環境が大きく変化する可能性がある途上国にあっては、比較的見通しが得易いことと技術移転に必要と思われる期間とを総合的に勘案して、通常5年間とすることとしている。

  2. 最近の活動内容

    プロジェクト方式技術協力が目指す協力は、大きく分けて①相手国の経済自立発展を促すための協力、②Basic Human Needsの充足を目指す協力があり、現在以下の5つの事業分野で必要な事業が実施されている。

    事業分野(平成9年度実績)個別分野(その協力例)
    (1)社会開発協力分
    (61件、10,197百万円)
    教育(サウディアラビア・リアド技術短期大学電子工学技術教育改善)
    職業訓練(ジョルダン・職業訓練技術学院)
    通信(インドネシア・電話線路建設センター)
    建設(中国・住宅新技術研究・人材育成センター)
    運輸(トルコ・港湾水理研究センター)
    環境(メキシコ・環境研究研修センター)
    防災(ネパール・治水砂防技術センター)
    貧困対策(インドネシア・スラウェエシ貧困対策支援村落開発計画)
    (2)保健医療協力分野
    (39件、9,133百万円)
    病院・臨床医学(ブラジル・カンピーナス大学臨床研究)
    公衆衛生・地域保健(マラウィ・公衆衛生)
    感染症対策(トルコ・感染症対策)
    (3)人口家族計画協力分野
    (11件、2,135百万円)
    家族計画・母子保健(メキシコ・家族計画・母子保健)
    人口統計(アルゼンティン・人口統計)
    (4)農林水産業協力分野
    (96件、12,802百万円)
    農業(パラグァイ・大豆生産技術研究計画)
    林業(インドネシア・林木育種フェーズ3)
    畜産業(モンゴル・家畜感染症診断技術改善)
    水産業(トルコ・黒海水域増養殖開発)
    (5)産業開発協力分野
    (44件、6,309百万円)
    鉱業(トルコ・鉱山保安技術向上)
    中小企業(ブラジル・中小企業鋳造技術向上)
    輸出促進(インドネシア・貿易セクタ一人材育成計画)
    生産性向上(タイ・生産性向上)
    環境保全対策(中国・石油化学工業排ガス処理技術)
    (注)実績額は、見込額。

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