ニカラグァ（国別援助方針）
ＣＥＣ：Ｃｏｍｍｉｓｓｉｏｎ ｏｆ ｔｈｅ Ｅｕｒｏｐｅａｎ Ｃｏｍｍｕｎｉｔｉｅｓ（ＥＣ委員会)
- 基本方針
（１）我が国の援助対象国としての位置付け
（イ） ニカラグァを含む中米地域の安定は、中南米の平和と安定等にとり重要であること、 （ロ） ニカラグァは、90年４月に内戦が終結し、民主主義の定着、市場指向型経済の導入に努力していること、また、中南米の最貧国の一つであることもあり、多くの援助需要を有していること、 （ハ） 我が国の経済協力は、ニカラグァにおいて高い評価を得ており、伝統的な親日国であることに加え、ニカラグァが国連等の国際場裡において信頼できるパートナーとなっていること、 等を踏まえ、援助を実施する。
なお、我が国の対ニカラグァ援助実績は内戦終結後の90年度から拡大しており、同国に対する援助国として、日本は第２位（96年）である。また、ニカラグァは、我が国の二国間援助実績（97年までの支出純額累計）において第43位（中南米地域において第７位）である。（２）我が国の援助の重点分野
我が国は、ニカラグァにおける開発の現状と課題、開発計画等に関する調査・研究及び94年12月に派遣した経済協力総合調査団等におけるニカラグァ側との政策対話を踏まえ、以下を援助の重点項目としている。
- （イ）社会開発・貧困対策分野
未だ経済発展の素地が整っていない同国においては、経済改革の底支えのため保健・医療、教育、低所得者住宅、農業水産振興分野への協力が重要である。
（ロ）社会・経済インフラ
内戦による破壊、長期にわたるメンテナンス不足、自然災害によりインフラ不足が深刻な状況にあり、道路、橋梁、港湾、灌漑、エネルギー関連への協力が重要である。
（ハ）環境
持続的な経済開発のためには開発と環境の両立が不可欠であり、水供給、下水・排水対策、人口増加率の高い首都圏での廃棄物処理への協力が重要である。
（ニ）民主化・経済安定化支援
我が国は、同国に対し民主化と経済安定化のための直接的な支援を行ってきたが、今後とも、ＮＧＯ活動の重要性をも念頭においた草の根無償の活用を継続していく。
（３）留意点
- ニカラグァに対する援助は、内戦終結を機に無償資金協力を中心に大幅に拡充しており、現在、同国への援助の分野は多岐にわたっている。
- 実施体制の強化等、援助の受入れ能力の向上が必要である。
- ニカラグァ経済の現状と課題
（１）主要経済指標
一人当たりＧＮＰ (96年)と同成長率
(90-96年平均)実質ＧＤＰ成長率 380ドル、▲0.2％
（世銀資料）91年▲0.2％、92年0.3％、93年▲0.4％、94年3.3％、95年4.2％、96年5.8％
（IＭＦ資料）（２）現状
インフレ率は88年の33,600％をピークに、90年は13,490％を記録したが、91年以降低下し、94年は12.4％、95年は11.1％、96年は11.6％に抑えられた。近年の経済成長率も、漁業、建設業、鉱業、農業等の伸びにより、安定的な伸びで推移しており、96年は内戦終結後の最高を記録した。
（３）課題
- 社会開発、貧困対策、雇用の拡大
- 不足するインフラ全般の整備
- 水供給、廃棄物処理等の環境対策
- マクロ経済の安定化
- 開発計画
97年１月にアレマン政権が発足してからは、包括的な開発計画は発表されていない。基本的な開発政策に大きな変化はないと考えられるので、前中期開発政策を参考に記載する。
中期開発政策（94～97年）
（目標）
- 経済安定の確立、市場指向型経済への移行促進
- 機能的で競争力のある経済に資する構造調整プロセスの強化
（課題）
- 社会部門の軽減、民間投資に必要な環境の整備
- 生産活動における雇用機会の増大、貧困層の生活水準の向上
- 援助実績
（１）我が国の実績（支出純額、単位：百万ドル）
有償 無償 技協 合計 供与先順位 97年（暦年） － 42 7 49 27位 97年（暦年）までの累計 110 222 48 379 43位 （２）ＤＡＣ諸国からの実績（支出純額、96年（暦年）、単位：百万ドル）
二国間総額 １位 ２位 ３位 764 ドイツ 403 日本 71 スウェーデン 49 （３）国際機関のＯＤＡ実績（支出純額、96年（暦年）、単位：百万ドル）
国際機関総額 １位 ２位 ３位 190 ＩＤＡ 67 ＩＤＢ 48 ＣＥＣ 44
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