20年以上続いた南北内戦の後、2011年7月、南スーダンはスーダンから分離・独立しました。スーダンおよび南スーダンは、両国間の諸課題について、南スーダン独立前からアフリカ連合(AU)の仲介による交渉を行ってきました。2012年9月、両国政府は、両国国境付近の治安措置や石油などの課題に関しては合意しましたが、両国間で合意済みであってもまだ履行されていない課題があるほか、両国が共に自国領土であると主張しているアビエ地域(注20)の帰属や係争地の問題等については、未だ合意には至っていません。2013年7月現在、スーダンおよび南スーダン両国は、平和的な共存を目指し協議を継続しています。
< 日本の取組 >
日本の対アフリカ外交にとって、平和構築は重要課題の一つです。中でも、南北スーダンの安定はアフリカ全体の安定に直結することから、両国はアフリカにおける平和の定着支援の重点国の一つとして位置付けられています。このような認識の下、日本は、2005年以降スーダンおよび南スーダン両国に対し11億ドル以上の支援を実施しています。今後、元兵士の武装解除、動員解除および社会復帰(DDR)の支援といった平和の定着に関する支援を継続するとともに、平和の定着を両国の国民が実感し、再び内戦に逆戻りすることがないよう基礎生活分野等に対する支援を行います。具体的には、スーダンに対しては、紛争被災地域を中心に、人間の基本的ニーズ(BHN)の充足の確保および食料生産基盤の整備を重視した支援を行っています。南スーダンに対しては、上述に加え、インフラ整備やガバナンス(統治)分野を重視した支援を行っています。
また、現在、南スーダンにおいて、国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)に派遣されている自衛隊施設部隊が活動中ですが、南スーダンの安定と国づくりに日本が一体的に取り組むため、同部隊の行う活動との連携した案件を実施しているところです。(2013年9月時点)
2013年10月、ヒルデ・ジョンソン南スーダン担当国連事務総長特別代表兼国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)代表と会談する岸信夫外務副大臣
注20 : 南北国境地帯に位置するアビエ地域は、南北内戦時の激戦地の一つであり、また豊富な石油資源を埋蔵していることなどから、両国双方が領有権を主張している
●南スーダン
「南部スーダン内水輸送運営管理能力強化プロジェクト」
技術協力プロジェクト(2011年3月~実施中)
2005年の内戦終結後、2011年に独立した南スーダンでは復興に向けた国づくり、経済活動の活性化が進展しているものの、内戦の影響によりインフラ設備の建設は大きく遅れています。運輸インフラはその最たるものであり、南スーダン国内の幹線道路は依然として多くが未舗装で雨季には通行が困難になります。中でも、ナイル川を通る河川交通は重要な役割を担っているものの、不十分な港湾設備やジュバ港管理の能力の低さのため、対応が必要となっていました。
日本は2006年にジュバ港の一部岸壁等の整備を行ったことを皮切りに、港湾事業への協力を開始しました。2011年からは本技術協力が開始され、日本人専門家による現地指導を行うとともに日本およびスーダン、ケニア、カンボジアなどの第三国での研修を延べ29名に対して実施するなど、ジュバ港で安全で効率的な荷役を実現するための能力強化や、施設の維持管理能力強化のための指導を行っています。
今後は、並行して実施している接岸施設、荷役・保管・管理施設の整備および関連機材の調達を行う無償資金協力とあわせて、取扱貨物量を増加させるとともに、荷役作業の安全性・効率性を確保することを目指していきます。(2013年8月時点)
港湾管理の一環で、州消防署と連携して総合防火訓練を行った。実際の消防車、ホースを用いて模擬火災を消火している様子(写真:JICA)