(4)資源・エネルギー

開発途上国では、電気が供給されていない地域の人々が世界の人口の20%に相当する約13億人もいます。(注42)電気やガスなどの電力供給のエネルギー・サービスの欠如は、産業の発達を遅らせ、雇用機会が失われ、貧困が進み、医療サービスや教育を受ける機会が制限されるといった問題につながります。今後、世界のエネルギー需要はアジアをはじめとする新興国や開発途上国を中心にますます増えることが予想されており、エネルギーの安定的な供給や環境への適切な配慮が不可欠です。

< 日本の取組 >

開発途上国の持続可能な開発およびエネルギーを確保するため、近代的なエネルギー供給を可能にするサービスを提供し、産業育成のための電力の安定供給に取り組んでいます。また、エネルギー利用の効率化や再生可能エネルギー(水力、太陽光、風力、地熱など)を活用した発電施設など、環境に配慮したインフラ(経済社会基盤)整備を支援しています。

資源国に対しては、その国が資源開発によって外貨を獲得し、自立的に発展できるよう協力し、鉱山周辺のインフラ整備など、資源国のニーズに応じた支援を行っています。それにより、総合的かつ戦略的な関係を構築・強化していきます。こうした支援を通じ、企業による資源の開発、生産や輸送が滞りなく行われるようにすることによって、エネルギー・鉱物資源の安定供給を確保していくことができるようになります。国際協力銀行(JBIC)(注43)、日本貿易保険(NEXI)(注44)、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)(注45)による支援に加え、日本のODAを資源・エネルギー分野で積極的に活用していくことが重要です。

ケニア「ソンドゥ・ミリウ/サンゴロ水力発電所建設計画」ビクトリア湖畔に建設された水力発電所。パイプラインの先に発電施設がある(写真提供:久野真一/JICA

ケニア「ソンドゥ・ミリウ/サンゴロ水力発電所建設計画」ビクトリア湖畔に建設された水力発電所。パイプラインの先に発電施設がある(写真提供:久野真一/JICA)


注42 :(出典)国際エネルギー機関「2011年世界エネルギー展望」(2009年時点の推定)

注43 : 国際協力銀行 JBIC:Japan Bank for International Cooperation

注44 : 日本貿易保険 NEXI:Nippon Export and Investment Insurance

注45 : 石油天然ガス・金属鉱物資源機構 JOGMEC:Japan Oil, Gas and Metals National Corporation

●ペルー

「地熱発電開発マスタープラン調査プロジェクト」
開発計画調査型技術協力(2010年2月~2011年9月)

ペルーでは、アンデス山脈付近を中心に地熱資源が豊富に存在するとされており、ペルー政府は近年、再生可能エネルギー発電推進法などの法整備を進め、地熱を含む再生可能エネルギー発電の利用を促進する方針を打ち出しています。他方、ペルーではこれまでに地熱発電の実績はなく、技術・経験を有する人材が不足しています。このため、協力要請を受けた日本は、地熱発電開発のロードマップ(行程表)を示すマスタープランの策定と地熱資源情報の整備を目的とした調査に着手しました。本調査では、日本のすぐれた技術、知識・経験を活用し、主要な地熱地帯10地点での地質・地化学調査をはじめ、資源調査・評価、電力事情調査や法規制等に関する調査、さらに環境社会配慮に係る調査等を実施しています。同時に調査を通じたペルー側関係者への技術移転も行っています。地熱発電は、発電時に二酸化炭素を排出しないため、本調査により、地熱発電開発につなげることで、気候変動対策としても貢献が期待されています。

地化学調査(湧水温度測定)を行う日本の調査団とペルー側担当者(写真提供:JICA)

地化学調査(湧水温度測定)を行う日本の調査団とペルー側担当者(写真提供:JICA)


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