2. 持続的成長
(1)経済社会基盤
開発途上国における貧困の削減のためには、貧困層の人々に直接役に立つ貧困対策や社会開発分野の支援のみならず、経済の持続的な成長が不可欠です。そのためには、開発途上国の発展の基盤となるインフラ(経済社会基盤)の整備が重要となります。
< 日本の取組 >
日本は、開発途上国の開発政策に基づいて、インフラ整備の支援とこれらインフラを整備、管理、運営するための人材を育成しています。具体的なインフラ整備として挙げられるのは、都市と農村との交流拡大や災害からの安全確保、および海外との貿易・投資を促進できるよう道路、港湾、空港、情報通信技術(ICT)などを整備することです。また、教育、保健、安全な水・衛生環境、住居を確保し、病院や学校などへのアクセスを改善するための社会インフラ整備や、地域経済を活性化させるため農水産物市場や漁港などの整備を行っています。
ベトナム「サイゴン東西ハイウェイ建設計画」サイゴン川渡河トンネルに向かう(写真提供:佐藤浩治/JICA)
●カンボジア
「住民移転のための環境社会配慮能力強化プロジェクト」
技術協力プロジェクト(2010年4月~2012年3月)
カンボジアでは、インフラの整備を通じて一層の経済成長を実現するため、運輸交通インフラのさらなる整備が課題となっています。一方で、開発を進める上での環境社会面に適切に配慮することも重要です。とりわけ新規道路の建設や既存道路の車線数増加に伴い住民移転が必要となる場合、基本的人権の尊重、情報の透明性などについて適切な配慮が求められます。多くの開発ニーズを抱えるカンボジアでは、今後、住民移転局(経済財政省)が中央省庁、州、市が実施する公共事業の住民移転への対応を一元的に担う予定となっており、当局の能力向上は差し迫った取組課題です。日本はこの課題解決に貢献するため、日本人専門家を派遣し、住民移転に係る政策立案を担う職員の能力向上、実施細則等の整備および実施体制強化を支援するためのプロジェクトを積極的に実施しています。これらの取組により、持続可能な形で開発が適切に進められることが期待されています。
視聴覚機材を入れて住民説明会もわかりやすくした(写真提供:JICA)