Keyword 2 OECD-DAC対日援助審査
経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)には、加盟国が互いに援助政策や体制などを審査する「援助審査(ピア・レビュー)」という仕組みがあります。この審査は、加盟国間の相互理解や、審査される国およびそのほかの援助国の援助政策の向上を目的としています。それぞれの加盟国は4~5年に一度、ほかの加盟国とDAC事務局から審査を受けることになっています。
2009年から2010年にかけて、約7年ぶりに日本の援助に対する審査が実施されました。審査団*1は、2009年10月に東京を訪れ、関係各省やJICAなどからヒアリングを行う本国調査を行った後、10~11月にバングラデシュおよびケニアで日本の援助の実施状況を調査しました。そして2010年5月20日には、パリにあるOECD本部でDAC加盟国による「ピア・レビュー会合」が開催され、6月16日に「対日援助審査報告書」がOECD-DACにより発表されました。
同報告書は、新JICAの発足や外務省国際協力局の再編、現場主義の強化、ODAに対する世論の支持の増加、ジェンダーへの取組など分野を横断する課題への取組といった近年日本が行った改革の努力を評価しています。これらに加えて、NGOとの連携の強化、ODAに関係する府省間の調整、アフリカへの援助の拡大、援助に関する情報の共有(アカウンタビリティー)重視の姿勢、開発途上国の能力開発の重視、開発途上国間の協力である「南南協力」への支援など、援助の効果を向上させるための取組についても評価しています。
一方、今後の検討課題としては、<1>ODAの量の増加、<2>開発のための政策一貫性*2への取組の強化、<3>NGOとのさらなる関係強化、<4>ODAに関する広報戦略の策定、<5>国際機関への拠出に関する戦略の策定、<6>業務のさらなる合理化、<7>評価制度の改善*3などについて指摘がありました。今回指摘された事項の多くは、2010年2月から外務大臣の下で実施された「ODAのあり方に関する検討」でも議論した事項であり、今後ODAの見直しの結果も踏まえて対応していきます。
*1 審査国(デンマークおよびドイツ)とDAC事務局から構成。
*2 開発途上国の開発を促進するために援助政策以外の日本の諸政策間の整合性を高めること。
*3 評価の独立性の確保や関係府省による支援も含めた評価体制の確立など。