Keyword 1 ミレニアム開発目標(MDGs)~その目的とこれまでの経緯~
MDGs(Millennium Development Goals)が設定された契機は、2000年9月にニューヨークで開催された国連のミレニアム・サミットです。この会議には147か国の国家元首を含む189か国の代表が参加し、21世紀の国際社会の目標として「国連ミレニアム宣言」を採択しました。国連ミレニアム宣言は、「平和と安全」「開発と貧困撲滅」「環境」「人権とグッド・ガバナンス(良い統治)」「アフリカの特別なニーズ」などを課題として挙げ、21世紀の国連が果たすべき役割の方向性を示しました。
この国連ミレニアム宣言と、1990年代に開催された主要な国際会議で採択されてきた国際開発目標を統合し、1つの共通の枠組みとしてまとめたものがMDGsです。MDGsは、「極度の貧困と飢餓の撲滅」「普遍的初等教育の達成」「乳幼児死亡率の削減」「妊産婦の健康の改善」「環境の持続可能性確保」など、2015年までに達成すべき8つの目標(ゴール)を掲げており、これらの目標の下には、より具体的なターゲットと達成状況を測定するための指標が設定されています。
国際社会は、様々な機会にMDGsの重要性を確認し、目標達成に向けた努力を強化してきました。
2005年には、国連ミレニアム宣言のフォローアップのために、国連首脳会合が行われ、MDGsの達成に向けて全世界がさらなる努力を重ねることが確認されました。また、2015年までの中間年に当たる2008年には、国連で「MDGsに関するハイレベル会合」が開催され、特に重要とされる「貧困と飢餓」「教育と保健」「環境の持続可能性」という3つの分野についての分科会が開催されました。そして、目標達成期限まで残すところ5年となった2010年には、第2章の第1節で紹介しているとおり、世界各国の首脳や閣僚の集まる様々な会合が行われ、MDGs達成に向けたこれまでの成果と課題、今後の具体的なアプローチについての議論が行われました。
このように世界中の国々や様々な主体が、MDGsという国際社会共通の目標の下、今後の世界がどうあるべきか、そしてそれぞれの国が果たすべき責任とはどのようなものであるかについて議論を交わし、行動を起こしているのです。