(2)イラク
国際社会はイラクの平和と安定を回復し定着させるため、国づくりの支援を進めています。イラクが平和な民主的国家として再建されることは、イラク国民や中東地域、および日本を含む国際社会の平和と安定にとって極めて重要です。イラクは、当面の復興ニーズに緊急に手当てすべき局面から、現在は、中期的な視点から復興・開発に戦略的に取り組むべき局面に移行しています。2010年3月には、新選挙法の下でイラクの議会選挙が行われるなど、民主化プロセスも進展を見せています。
< 日本の取組 >
日本は、無償資金協力で2009年度末時点で約16.7億ドルを供与し、その着実な実施に取り組んでいます。また、様々な分野の研修事業を通じて、イラクの行政官や技術者に対する能力向上支援を行っています。円借款による支援については、2009年度末時点で、15案件計32.8 億ドルの使途を決定しました。日本は、現在実施中の協力事業の着実な進ちょくを確保するため、きめ細かい実施促進支援を行いつつ、イラクの中期的な復興・開発戦略の中に日本の支援が効果的に組み込まれるよう、イラクおよび他の支援機関と一層緊密な連携を図っていく考えです。
債務問題については、2004年にパリクラブにおいてパリクラブ加盟諸国が保有するイラク債務総額約372億ドルのうち、80%を3段階で削減する合意が成立しました。これを受け日本は、2005年11月に約76億ドルの債権(日本は第1位の債権国)を3段階に分けて合計80%削減する内容の交換公文を日本・イラク間で署名し、2008年12月の削減を最後に合計約67億ドルの債務削減を完了しました。