(4)資源・エネルギー

開発途上国では、電力へのアクセスを享受できない人々が世界人口の22%に相当する約15億人います(注42)。エネルギー・サービスの欠如は、産業の未発達、雇用機会の喪失、貧困化、そして医療サービスや教育を受ける機会の制限といった問題につながります。今後、世界のエネルギー需要はアジアをはじめとする新興国や開発途上国を中心に増大することが予想されており、エネルギーの安定供給や環境への適切な配慮が不可欠です。


< 日本の取組 >

開発途上国の持続可能な開発およびエネルギーの確保のため、近代的なエネルギー・サービスの提供や産業育成のための電力の安定供給に取り組んでいます。また、エネルギー利用の効率化や再生可能エネルギーを活用した発電施設など環境に配慮したインフラ整備支援を行っています。

資源国に対しては、資源開発を通じた外貨獲得によるその国の自立的発展に協力するとともに、鉱山周辺インフラの整備などを含めた資源国のニーズに応じた支援などにより、総合的かつ戦略的な関係の構築・強化を図っています。これらを通じ、企業による資源の開発、生産、輸送の円滑な実施を通じたエネルギー・鉱物資源の安定供給を確保していくため、国際協力銀行(JBIC)、日本貿易保険(NEXI)、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)による支援に加えODAを積極的に活用していくことが重要です。


注42 :(出典)国際エネルギー機関「2009年世界エネルギー展望」(2009)

●ネパール「太陽光を活用したクリーンエネルギー導入計画」

ネパールの電力はほぼ100%水力により発電されていますが、水力発電の能力は需要に比べて大幅に不足しているために、乾期には1日16~18時間の停電が行われています。電力供給量の増加のためディーゼル発電の導入も検討されていますが、ネパールでは、石油系燃料をすべて輸入に頼っており、同燃料の消費増加は経済成長の大きな障害になり得るとともに、二酸化炭素排出削減の観点からも問題となります。そのため、新規の水力発電所の建設促進と太陽光などの再生可能エネルギーの活用促進が重要な課題の一つとなっています。日本は、ネパールでの太陽光発電システムの普及・促進、太陽光発電システム運転の実績蓄積、技術者の育成などのため、6億6,000万円の無償資金協力を通じて、ネパール初の系統連携型太陽光発電システムの導入を進めています。


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