情報通信技術(ICT)の普及は、産業の高度化、生産性の向上を通じて、持続的な経済成長の実現に寄与するとともに、開発途上国が抱える医療、教育、エネルギー、環境、災害管理などの社会的課題の解決にも資するものです。また、ICTの積極的な活用は、政府による情報公開の促進や、放送メディアの整備などを通じた民主化の土台となるガバナンス改善、利便性・サービス向上による市民社会の強化につながるため、非常に重要です。
< 日本の取組 >
日本は全ての人々の生活の質を向上させるため、地域・国家間で存在する情報通信技術格差の解消に対し、積極的に支援を行っています。具体的には、主に、開発途上国における通信・放送インフラの構築およびそのための法整備や人材育成といった分野を中心としています。また、開発途上国の人間一人一人の豊かな可能性の実現を目的としつつ、同時に日本の経済成長も念頭におき、地上デジタル放送日本方式の海外普及活動など整備面、人材面、制度面の総合的な支援を目指しています。
●南米諸国への地上デジタルTV放送導入支援
南米の地上デジタル放送日本方式採用国では、アナログ放送に関する経験しかなく、デジタル放送開始に当たって、マスタープラン作成、地上デジタル放送機材の選定・調達、運営維持管理など様々な面において知見や資機材が不足しています。このため、2009年度に地上デジタル放送導入支援専門家をペルー、チリ、アルゼンチンおよびベネズエラに派遣するとともに、政府、民間関係機関技術者などを日本に招へいし、「南米地上デジタル放送セミナー」、「地上デジタル放送導入支援研修」などを実施しました。これにより、南米の他の国にも日本方式の普及が進み、南米諸国と日本との関係が強化されました。
注25 : ICT:Information and Communication Technology