2. 効率的な援助の実施

日本の経済や財政の状況は厳しく、従来どおりの幅広い国や分野を対象とした援助を展開することは難しい状況にあります。そのため今後は限られた予算を用いて、より戦略的に援助を実施し、確実に効果を上げていくことが求められています。具体的には、援助の方向性を明確にするとともに、プログラム・アプローチの強化などによって援助の戦略性の向上を図ります。さらに既存の援助手法を見直すこと、成果重視の姿勢へ転換することなどによって援助の効果の向上を図っていく方針です。

(1)プログラム・アプローチの強化

「プログラム・アプローチ」とは、開発途上国との政策協議に基づいて開発における「課題」を設定し、その解決に向けて個別のプロジェクトを具体的に導き出していく手法です。有償資金協力、無償資金協力、技術協力などのそれぞれの援助手法を有機的に組み合わせ、全体として1つの開発課題に取り組むプログラムを構成することを想定しています。これにより、開発途上国側からなされるプロジェクトごとの要請に基づいて援助の実施を検討していた従来の手法に比べ、各プロジェクト間の相乗効果が高まることが期待されます。

プログラム・アプローチを強化するため、まず、2010年中にいくつかのパイロット・プログラムを選定し、試行することが予定されています。また、援助対象国の現地における政策協議や援助協調の機能の強化、モニタリングや開発ニーズの分析などの強化にも取り組むことで、プログラム・アプローチを推進していきます。

図表 Ⅰ-2  プログラム・アプローチの強化


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