囲み 3 地球規模課題に対応する科学技術協力

気候変動や感染症など、喫緊の地球規模の課題に対しては、日本のみで対応しているのでは不十分であり、開発途上国の対応能力を向上させていくことが不可欠です。そして、その能力向上には科学技術が大きな役割を果たします。このような考えから、日本の有するすぐれた科学技術に対して開発途上国から高い期待が寄せられており、「科学技術外交」の一環として、科学技術を外交資産・ツールとして活用する「地球規模課題に対応する科学技術協力」を実施しています。

2008年4月から始まった「地球規模課題対応国際科学技術協力」は、日本と開発途上国の大学や研究機関の間で、科学技術の開発・応用や新しい知見の獲得のための共同研究を実施するものです。環境・エネルギー、防災、感染症対策などの地球規模課題について、日本と開発途上国の大学や研究機関が、外務省・独立行政法人国際協力機構(JICA)および文部科学省・独立行政法人科学技術振興機構(JST)の連携による支援の下で国際共同研究を実施するもので、地球規模課題の解決および科学技術水準の向上につながる成果を創出するとともに、開発途上国研究機関の科学技術水準の向上と総合的な対処能力の向上を図ることを目的としています。さらに、単なる技術協力にとどまらず、共同研究が日本と開発途上国の双方の資産となり、相互受益をもたらす形となることを目指しています。

2008年から海面上昇による影響を強く受ける、標高の低い小さな島・ツバルのフナフチ環礁では、東京大学をはじめとする日本の研究チームと、ツバル環境局、南太平洋大学などが、海面上昇に対して復元力の高い国土づくりに取り組んでいます。この研究は、環礁島の形成・維持メカニズムに基づいて、ツバルの現状と海面上昇後の島の状況を評価・予測し、サンゴや微生物(有孔虫)による砂の生産と海岸への堆積を促して長期的な島の維持を図ることを目的としています。


2009年度採択案件の分野・地域構成

  アジア アフリカ その他 合計
環境・エネルギー 5 4 3 12
防災 3 1 1 5
感染症 2 1 1 4
合計 10 6 5 21

注 : 環境・エネルギーには生物資源を含む。


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