(2)情報通信技術(ICT注24))

情報通信技術(ICT)の普及は、産業の高度化、生産性の向上を通じて、持続的な経済成長の実現に寄与します。また、ICTの積極的な活用は、政府による情報公開の促進や、放送メディアの整備などを通じた民主化の土台となるガバナンス改善、利便性・サービス向上による市民社会の強化につながるため、非常に重要です。


注24 : ICT:Information and Communication Technology


< 日本の取組 >

日本は地域・国家間で存在する情報通信技術の格差を解消するため、積極的に支援を行っています。ICT分野は基本的に民間主導で発展する分野であり、支援の対象は主に、開発途上国における通信・放送インフラの構築およびそのための法整備や人材育成といった、民間部門には馴染まない分野を中心としています。さらに、技術的に優れた地上デジタル放送日本方式の海外普及にも取り組んでいます。

ハノイ工科大学ITSS教育能力強化プロジェクト(ベトナム)

ベトナムは、IT分野を成長率の高い将来性のある産業分野と位置付け、同分野の教育および人材育成を積極的に進めていますが、大学・研究機関の資機材や資金、最新技術に精通した教員・専門技術者の不足などにより、産業界が求める人材の育成を十分行えていません。そこで日本は、2006年10月からハノイ工科大学を対象に技術協力プロジェクトを行っています(注25)。専門家派遣や研修員受入れを通じて、学習計画や教材などの作成、社会人向けの集中講座の実施などを行っており、ベトナムのIT分野の教育機関やIT産業における優秀な人材の育成、およびIT技術の進展を通じた同国の産業競争力の強化に貢献しています(注26)。また、このプロジェクトは、日本のITスキル標準(ITSS(注27))に基づく日本語環境でのIT技術者の教育を推進しており、日本とベトナムのIT産業界をつなぐ人材(ブリッジSE(注28):日本とベトナムのIT企業を結ぶ架け橋)を育成することが期待されています。


注25 : 2006年から2008年にかけてフェーズ1、2009年3月からフェーズ2を実施中。

注26 : 円借款プロジェクト(2005年度承諾)により、IT教育のための資機材供与、日本語教員派遣、日本への留学生派遣についての支援等も行っている。

注27 : ITSS:Information Technology Skill Standard、経済産業省が策定したITスキル標準のこと。

注28 : SE:System Engineer


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