第II部 2008年度の政府開発援助実績

第1章 実績から見た日本の政府開発援助

2008年の日本の政府開発援助(ODA)実績(注1)は、支出純額で、二国間ODAが約68億2,325万ドル(約7,062億円)、国際機関に対する出資・拠出などが約27億5,586万ドル(約2,852億円)、ODA全体では対前年伸び率24.7%増の約95億7,910万ドル(円ベースでは対前年伸び率9.6%増の約9,914億円)となりました。なお、政府貸付などの回収額を算定に入れない支出総額でのODA実績は、対前年伸び率28.6%増の約174億5,292万ドル(円ベースでは対前年伸び率13%増の約1兆8,064億円)です。

< 実績の分析 >

2008年における日本のODA実績(支出純額)は、OECD-DAC注2)加盟国では、米国、ドイツ、英国、フランスに続く第5位となりました(注3)。順位は2007年と変わらず5位にとどまったものの、ODA実績が前年に比べ増加となるのは3年ぶりであり、伸び率では、G7諸国中第1位となりました。また、支出総額での順位は3位から2位に上昇しました。ODA支出純額(ドル・ベース)の増加の主な要因は、国際機関向け出資・拠出などの支出の増加(対前年伸び率45%増)および円高です。

2008年ODA実績(支出純額)の内訳は、二国間ODAが全体の約71.2%、国際機関を通じたODAが約28.8%です。開発途上国との協議の上で実施される二国間ODAは、日本と被援助国との関係強化に貢献することが期待されます。一方、国際機関を通じたODAは国際機関の専門的知見や政治的中立性を活用でき、さらに二国間援助が届きにくい国・地域への支援が可能です。日本は、これら二国間援助および国際機関を通じた支援を柔軟に使い分けるとともに相互の連携を図り、適切に援助が供与されるよう努力しています。

二国間ODA(支出純額)を援助手法別に見ると、無償資金協力として計上された実績は約47億7,656万ドルで、ODA実績全体の約49.9%となっています。このうち債務救済は約28億118万ドルで、約29.2%を占めています。また、国際機関を通じた贈与は、約7億3,006万ドルで全体の約7.6%です。上記項目を除くと、無償資金協力として日本が供与した金額は約12億4,532万ドルで、全体の約13%となります。さらに技術協力は約29億8,707万ドルで、全体の約31.2%を占め、政府貸付などは約▲9億4,038万ドル(注4)、債務救済を除いた政府貸付などは約1億2,315万ドルとなっています。

地域別の二国間ODAは以下のとおりです(注5)。

アジア:約10億7,368万ドル(約75億758万ドル)

アフリカ:約13億9,570万ドル(約14億9,561万ドル)

中東:約23億7,173万ドル(約31億5,433万ドル)

中南米:約2億6,945万ドル(約7億6,847万ドル)

大洋州:約7,293万ドル(約1億6,694万ドル)

欧州:約1億4,993万ドル(約1億9,096万ドル)

複数地域にまたがる援助など:約16億544万ドル(約16億544万ドル)

全体に占める各地域別実績の割合については図表-II2を参照してください。


注1 : 東欧諸国及び卒業国向け実績並びに欧州復興開発銀行(EBRD)向けの拠出金を除く。なお、四捨五入の関係上、図表等の合計が一致しない場合がある。

注2 : OECD-DAC:Organisation for Economic Co-operation and Development-Development Assistance Committee=経済協力開発機構開発援助委員会

注3 : 2009年12月OECD/DAC統計に拠る。

注4 : 2008年は、日本から開発途上国への政府貸付総額は約69億3,344万ドルであったが、過去の貸付に対して約78億7,382万ドルの回収が行われたため、政府貸付全体としてはマイナスの数値となっている。

注5 :( )内の値は支出総額ベース。

図表II-1 2008年の日本の政府開発援助実績

図表II-2 日本の二国間政府開発援助の地域別配分の推移

図表II-3 主要DAC加盟国の政府開発援助実績の推移

図表II-4 DAC諸国における政府開発援助実績の国民一人当たりの負担額

図表II-5 DAC諸国における政府開発援助実績の対国民総所得(GNI)比

図表II-6 日本の政府開発援助実績の対国民総所得(GNI)比の推移


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