2. パキスタン・フレンズ東京閣僚会合とパキスタン支援国会合
このような認識の下、2009年4月17日に東京において、31か国と18の国際機関の参加を得て、パキスタン・フレンズ東京閣僚会合および日本と世界銀行との共催によるパキスタン支援国会合を開催しました。これらの会合のなかで、ザルダリ大統領から、テロ対策や経済改革といった諸課題に真剣に取り組んでいくとの明確な決意が表明されたことを受けて、参加国・機関からはパキスタンに対する一致した支援として、2年間で総額50億ドルを超える支援の表明がなされました。日本は、IMFプログラムの着実な実施(注10)を前提に、経済危機の影響を受けている貧困層への迅速な支援を実施していくとともにパキスタン政府の経済改革努力を支援するため最大10億ドルの支援を表明しました。
パキスタン政府はテロ対策の一環として、2009年4月末からスワートおよびその周辺において、武装勢力掃討のための軍事作戦を開始しましたが、それに伴い多くの住民が国内避難民(IDP(注11))として、周辺地域に流出しました。日本はIDP支援を喫緊の課題と捉え、同年6月に、国連の緊急人道支援アピールにこたえ、国際機関と連携し、緊急食糧や非食糧物資などの配布のための資金1,000万ドルを供与するための緊急無償資金協力を実施しました。
また、2009年6月に開催された、G8トリエステ外相会合、G8外相+アフガニスタン・パキスタン+アウトリーチ国・機関会合およびG8アフガニスタン・パキスタン特別代表会合などにおいては、G8がパキスタンの安定と発展のために引き続き支援を行っていくことや、同年4月のパキスタン支援国会合で表明された支援表明を着実かつ早期に実施することが重要であるとの点で一致しました。
さらに、2009年9月に開催された、パキスタン・フレンズ首脳会合では、パキスタンのテロ対策の取組を国際社会が支援していくことの重要性が首脳レベルで確認され、日本はテロ対策支援を目的として約4,700万ドルを供与することを表明しました。
2009年11月に発表された「テロの脅威に対処するための新戦略」では、パキスタン支援について、電力セクターを含むエネルギーやインフラ整備といった経済成長やマクロ経済改革の支援、貧困削減分野における住民の生活改善、北西辺境州および連邦直轄部族地域の民生安定などを通じて、同国の持続的安定・発展を支えていくために、同年4月に表明した2年間で最大10億ドルの支援を迅速に実施することとしています。
注10 : 2008年11月、パキスタンはIMFから約76億ドルの支援を受けることとなったが、支援を受けるに当たり、経済・金融等を含めたマクロ経済の安定化を目的としたIMFプログラムを実施し経済改革を進めることとなった。
注11 : IDP:Internally Displaced Persons