第2章 アフガニスタンおよびパキスタン支援

アフガニスタンおよびパキスタンの不安定化は、両国あるいは地域だけの問題ではなく、世界全体の問題として考えなければなりません。アフガニスタンを再びテロの温床としないため、日本をはじめとする国際社会は積極的に同国への支援を行っています。そして、アフガニスタンとの国境地域において対テロ掃討作戦を実施するなどテロの撲滅に重要な役割を果たしているパキスタンの安定も、地域や国際社会の平和と安定の鍵となっています。さらに、アフガニスタンとパキスタンの安定は相互に関連しており、両国への支援を行うにあたっては、両国や中央アジア、イランなどを含めた地域的連関を踏まえつつ支援を行っていく必要があります。鳩山政権は、こうした点を踏まえアフガニスタンおよびパキスタン支援を国際社会が対処していく最重要課題の一つと捉え、2009年11月、「テロの脅威に対処するための新戦略」を発表しました。この新戦略に基づき、日本はアフガニスタンとパキスタンの安定と繁栄の実現に向けて協力していきます。

第1節 アフガニスタンの復興支援

1. 安定と発展に向けた国際社会の取組

アフガニスタンは、20年以上にわたる内戦により、経済・社会インフラといった生活基盤そのものをはじめとして、国家の枠組みを形成する基本システムが破壊された状態が続いていました。同国においては、2001年9月11日に発生した米国同時多発テロ攻撃の後、テロの根絶に向けた国際社会の連帯の下に国際的な協力が進められています。2004年には、新憲法が制定され、大統領選挙も行われました。2009年8月には、2回目の大統領選挙が行われ、同年11月にカルザイ大統領の再選が確定しました。今後アフガニスタン政府と国際社会は、協働して、新政権樹立後のアフガニスタンの安定と発展に向け、治安の回復、ガバナンスの強化、反政府勢力との和解・再統合、基礎的インフラ整備や麻薬栽培の根絶、地方への支援拡大などの課題に取り組んでいく必要があります。

2009年3月にはオランダのハーグでアフガニスタンに関する国際会議が開催されたほか、6月のG8外相会合では、G8+アフガニスタン・パキスタン会合のほか、幅広い関係国、機関を含めた会合が開催され、アフガニスタンの安定と復興のための地域的取組の重要性につき一致しました。


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