囲み⑤ 円借款における「顔の見える援助」の取組

開発途上国の自立した持続的成長のためには、民間セクターによる活動の促進とともに、民間投資を呼び込むための貿易・投資環境などの整備に必要な電力、ガス、上下水道、道路、鉄道、港湾、空港や通信などのインフラ整備が不可欠です。また、政府開発援助大綱や2006年2月の「海外経済協力に関する検討会」の報告書、経団連などの民間団体からの提言でも、日本の「顔の見える援助」や日本の優れた技術やノウハウなどを活用した資金協力の重要性などについて取り上げられています。日本はこれらのインフラ整備の分野でその知見と経験を活用した協力を行っており、円借款においても途上国への日本の技術移転を目指した取組を行っています。

2002年7月、日本の優れた技術やノウハウの活用が可能となる円借款の制度として、本邦技術活用条件(STEP))制度を導入しました。この制度では、円借款対象国であり、かつ、OECDのルール上、調達先を日本企業に限定した借款が可能な国に対して、日本が持つ様々な優れた技術を移転することを目指しています。STEP制度による円借款事業では資機材の調達や役務、サービスなどの30%以上を日本から調達するため、途上国側では、日本の高い技術力の移転が期待できます。さらに、一般的な円借款と比べた場合、この制度による借入では金利や返済期間が途上国に有利に設定されていることも魅力の一つとなっています。

日本は、この制度での円借款として、これまでに9か国で20件(2007年度末)の事業を行っています。2007年度は、ケニア・モンバサ港開発計画(供与額約267.1億円)、モンゴル・新ウランバートル国際空港建設計画(供与額約288.1億円)、ベトナム・ハノイ市都市鉄道建設計画(一号線)(供与約46.8億円)の3件(合計約602億円)について、交換公文の署名を行いました。

STEP(本邦技術活用条件)案件の実績