囲み④ 新JICAの発足〜新時代の国際協力〜

新JICAのロゴマーク
JICAのロゴマーク

2008年10月1日、日本の政府開発援助(ODA)の主要な実施機関である国際協力機構(JICA)が新しく生まれ変わりました。これまでJICAは、技術協力の実施と無償資金協力の実施促進を業務の中心としてきました。JICA法改正により、新たなスタートをきったJICA(新JICA)では、これら業務に加えて、これまで国際協力銀行(JBIC)が海外経済協力業務として担当してきた有償資金協力(円借款など)も実施することになりました。さらに、外務省が実施してきた無償資金協力についても、今後はJICAが実施部分を担当します(ただし、機動的な実施が求められるものや外交政策の遂行上必要な無償資金協力については、引き続き外務省が実施します)。これにより、新JICAは、これまでの技術協力と併せて、有償資金協力、無償資金協力の3つの援助手法を一元的に実施する総合的な援助実施機関となりました。

3つの援助手法

この援助手法の一元的な実施により、効率的で迅速な政府開発援助の実施が可能となり、より大きな援助効果が期待されています。例えば、道路・港湾などのインフラ整備を円借款や無償資金協力で実施し、これらインフラを運営・維持管理するための人材育成を技術協力で実施することが可能となります。これまでも援助手法の連携は実施されてきましたが、新JICAでは、このような援助手法の有機的な組み合わせを計画段階から一元的に企画することが可能になりました。例えば、従来は、基本的には、3つの援助手法ごとに独自に案件形成のための調査を行っていましたが、新たに3手法共通の調査プロセスとして創設された「協力準備調査」によって、援助手法にとらわれない調査が可能となりました。一元的な調査の実施により、案件形成の迅速化が期待できます。

新JAICAの研究領域

さらに、新JICAでは、国際協力に関する調査・研究を主要業務の一つと位置付け、これまで旧JICAおよび旧JBICが有していた研究機能を統合して、新たにJICA研究所を創設しました。同研究所では、日本の政府開発援助の国内外への発信力強化に力点を置き、政策志向の調査研究を行っていきます。また、これまで旧JICAや旧JBICが培ってきた豊富な国際協力の経験やノウハウを活かして、日本の国際協力に関する知的拠点となることを目指します。

無償資金協力

また、新JICAは、これまで実施してきた業務についても継承します。途上国の経済・社会の発展に協力する青年海外協力隊やシニア海外ボランティアなどのボランティア派遣事業や海外での大規模災害などに対する国際緊急援助隊の派遣、緊急援助物資の供与に関するオペレーションなどは引き続き新JICAにおいて行っていきます。新JICA発足により、日本の政府開発援助の質がさらに向上し、効率的、効果的、かつ迅速に実施されることが大いに期待されます。