紛争地域を中心に埋設された対人地雷や非合法に流通している小型武器は、子どもを含む一般市民などの非戦闘員に対しても無差別に被害を与えており、人道上極めて重大な問題です。さらには、復興・開発活動を妨げ、紛争再発の原因となることもあります。
政府開発援助大綱並びに政府開発援助中期政策では、平和の構築の観点から、地雷や小型武器を含む武器の回収・廃棄への支援、地雷被害者などの国内の安定と治安の確保のための支援に特段の配慮を払う旨を明記しています。
● 対人地雷対策支援
日本は「犠牲者ゼロ・プログラム」(注203)の下、地雷除去を含む地雷対策支援を積極的に行ってきており、1998年以降の支援総額は280億円以上に上ります。2004年12月、対人地雷禁止条約(オタワ条約)第1回検討会議においては、アジア・中東・アフリカ地域に力点を置きつつ、(1)「平和の構築」への貢献、(2)「人間の安全保障」の視点の重視、(3)産官学民の連携およびその一環としての技術開発への取組-の三原則に従って、従来同様の規模で地雷対策支援を行うとの新たな地雷政策を表明しました。
2004年に表明した地雷政策の実施例としては、2006年6月に、人間の安全保障基金を通じて、スーダンにおいて、地雷や不発弾などの脅威に対処するための地域に根ざした取組の基礎を築くことを目的に、地雷回避教育および犠牲者支援に係る活動への支援(約175万ドル)を決定しました。また、日本は、地雷除去活動の安全性および効率性を改善するために、日本の先端技術を活用した探知・除去技術の開発にも取り組んでいます。今後とも対人地雷問題の解決のために、地雷対策支援を引き続き積極的に実施していきます。
● 小型武器対策支援
非合法に流通している小型武器の削減を目指した現場での取組として、日本は、武器を放棄した地域に対してインフラ(道路、井戸、学校等の修理・建設)を整備するという武器回収と開発を組み合わせたプロジェクトを支援しています。2003年からプロジェクトを実施しているカンボジアにおいては、2007年3月末までに2万7,000丁を超える小型武器の回収という成果を上げています。また、小型武器の被害が特に深刻なアフリカに対しては、UNDPを通じ、2007年2月に中央アフリカおよびコンゴ共和国における合わせて4億円以上の武器回収プロジェクトに拠出を決定するなど、支援の強化に努めています。
さらに、広く小型武器対策に資する取組として、非合法な武器の流入の摘発・防止など規制の実効性を担保するための関連法制度の整備支援や法執行機関への能力構築支援、元兵士や元児童兵の武装解除・社会復帰事業、小型武器専門家によるセミナーの開催等を実施しています。2007年3月には、日本の主催により小型武器東京ワークショップ(注204)が開催されました。小型武器に関連するこのような取組の実績は、2006年度までに総計約401億円となっています。
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