(3) スーダン
< 概要 >

  2005年4月、スーダン南北間の包括和平合意(CPA (注184))の成立を受け、同合意の着実な履行に対して幅広い国際的支援を得るため、コフィ・アナン国連事務総長(当時)をはじめ日本を含む60以上の国、地域、機関の代表が出席して、スーダン支援国会合がオスロ(ノルウェー)で開催されました。このオスロ会合では、2005年から2007年の3年間の支援要請額約41億ドル(注185)に対して、各代表団から、これを上回る計45億ドルの支援表明がありました。これにより、スーダンの南北和平合意履行のための国際社会による一致した支援の強化という目的は達成されました。日本からは逢沢一郎外務副大臣(当時)が政府代表として出席し、スーダンにおける平和の定着を支援するために当面1億ドルの支援を行うことを表明しました。
  以上を踏まえ、日本は国際機関を通じた支援を中心に、2007年11月時点で上記支援表明額を超える約1.8億ドルの支援を実施してきています。具体的には、難民の帰還・再統合支援、地雷・不発弾の除去活動や回避教育、水供給関連施設整備、小児感染症対策等の医療支援、食料支援等を国際機関や日本のNGOと協力しつつ積極的に実施しています。
  さらに二国間援助にも取り組んでいます。具体的には、「アフリカン・ビレッジ・イニシアティブ(AVI (注186))」の考えを踏まえ、2006年1月から南部政府の首都であるジュバ市で調査を開始し、都市計画の策定支援と周辺地域を含めた生活環境改善のための緊急パイロット事業を実施しているものです(注187)。また、技術協力により、ジュバ職業訓練センターの強化を行っています(注188)。このほか、今後、スーダンにおいて日本が政府開発援助事業を実施するにあたり必要な理解を促進することを目的とした、国際協力セミナーを実施しました。

< ダルフール問題 >

  ダルフール問題(注189)に関しては、国連安全保障理事会や国際刑事裁判所においてもとりあげられているほか、2007年6月にドイツのハイリゲンダムで開催されたG8サミットにおいても懸念が表明される等、国際社会の大きな懸案となっています。日本は、同問題解決に向け、国連安全保障理事会の動向と歩調をあわせ、スーダン政府を含む関係者の具体的努力を引き続き働きかけています。日本は、同地域における人道支援の実施に加え、同問題解決のために主導的な役割を果たしているアフリカ連合(AU (注190))の活動に2007年11月までに総額約8,500万ドルの支援を行っています。
  スーダン支援は、日本が対アフリカ政策の重要な柱として強調する「平和の定着」に対する支援の一例であり、今後も同国の平和の定着に向け、引き続き努力していく考えです。

コラム 16 今世紀最大の人道危機を救うために

図表II-29 日本のスーダンに対する平和の定着のための支援(2007年11月現在)

図表II-29 日本のスーダンに対する平和の定着のための支援(2007年11月現在)


<< 前頁   次頁 >>