日本は、開発途上国政府の能力強化を通じた民主化定着・市場経済化支援を実施してきました(注5)。例えば、法制度整備支援として、市場経済化に適合した法整備や、法の支配が課題となっているインドシナ諸国(カンボジア、ラオス、ベトナム)、中央アジア(ウズベキスタン)等で、民法・民事訴訟法などの法案起草・改正や法曹人材の育成への支援を実施し、また、市場経済化を加速化させるために8か国(カンボジア、ラオス、ベトナム、カザフスタン、キルギス、ウズベキスタン、モンゴル、ウクライナ)において、「日本人材開発センター」を設置し、経済実務に携わる人づくりを支援しています。また、行政能力向上のための支援、警察支援、選挙支援、メディア支援などを通じた市民社会の強化、女性の政治的参加の拡大などの分野で協力を実施してきました。草の根・人間の安全保障無償により、開発途上国のNGOや地方自治体の活動を支援することも、また、途上国における市民社会の強化につながり、民主化の基盤形成に役立っています。今後も政府開発援助その他の手段を通じて、民主化定着・行政能力強化の支援や市場経済化支援を実施していく考えです。
また、開発途上国の中には、全般的には民主化が着実に進み、良い統治(グッド・ガバナンス)が強化されつつあるものの、一部に人権問題や不正などの見られる国もあります。このような国に対しては、相手国政府に問題への対処を求めると同時に、人権状況やガバナンスの改善に役立つ援助を行っています。今後も、政府開発援助大綱の「援助実施の原則」(注6)を踏まえた上で、開発途上国における民主化への自助努力を慫慂するような支援を行っていく方針です。
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