2007年6月のドイツ・ハイリゲンダムにおける主要国首脳会議(G8サミット)では、気候変動問題が大きなテーマとなりました。これは、環境の一分野の問題と認識されがちだった気候変動が、国際社会が直面する大きな課題として認識された結果といえます。そして、G8首脳は、2050年までに世界全体の温室効果ガスの排出量を少なくとも半減することを真剣に検討することに合意し、気候変動の緩和策と同時に、開発途上国の気候変動への適応における支援継続を強調しました。また、2007年12月にインドネシアのバリで開催される気候変動枠組条約締約国会合では、2013年以降の枠組みについて議論される予定です。2008年のG8北海道洞爺湖サミットにおいても、気候変動は主要な議題の一つとなるものと思われ、サミット議長国である日本のリーダーシップが求められています。
現在の京都議定書には、主要排出国である米国等は参加していません。また、中国やインド等の開発途上国は、京都議定書上、温室効果ガスの排出削減義務を負っていません。しかし、2002年時点で中国は世界第2位、インドは第5位の温室効果ガス排出国であり、今後、経済成長に伴って排出量は更に増加することが予想されています。日本は、京都議定書の約束期間が終わる2013年以降、すべての主要排出国が参加する実効的な枠組みを構築することを目指しています。
日本が地球温暖化対策という国際社会の共通課題に取り組むことは、国際社会における日本のリーダーシップを発揮することにつながります。また、この関連で途上国支援を強化することは、現在、温室効果ガスの排出量の削減義務を負っていない開発途上国が温暖化対策の国際的な枠組みに関与することを促していく一つの手段になります。さらに、気候変動対策は、日本の高い環境技術をいかした支援が可能であると同時に、政府開発援助を活用したCDMの促進は、排出クレジットを獲得し、日本の京都議定書上の約束達成に貢献するという効果も期待できます。したがって、2013年以降の実効的な枠組みの構築とともに、開発途上国の緩和策、適応策に対する支援を進め、地球温暖化という地球的規模の課題に対処していく方針です。
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