6. 政府開発援助予算の最近の状況

  このように、政府開発援助は、相互依存関係にある国際社会において日本が平和と繁栄を確保するために不可欠な国際協力の手段です。人類共通の課題に対して国際社会が一致して取り組もうとしている中、日本が国際社会から十分な信頼感を得ることのできる協力を行い、自らの国益を追求していくためには、それにふさわしい援助の量を確保することが重要です。
  近年、世界の主要援助国は、2001年の米国同時多発テロ以降、貧困がテロの温床となっているとの考えの下、国際危機管理の観点も加味して、開発資金の増大を行っていますが、日本の政府開発援助予算は、政府全体の財政再建の取組(注19)の結果として減額傾向にあります(注20)
  2006年7月に閣議決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」において、2007年度から5年間の歳出改革として政府開発援助予算を前年度比2~4%削減すると決定されたことを受け、2007年度予算(一般会計)は、前年度比4%の削減となりました。また、2006年の実績で見ると、日本の政府開発援助は支出純額(ネット値)で前年比14.9%減少し111.9億ドルで、英国に抜かれ第3位になりました(注21)。なお、支出総額(グロス値)では、171.2億ドルで、第2位です(注22)。日本は、先に述べた「基本方針2006」にも記載されたとおり、「今後3年間でアフリカ向けODAを倍増し、引き続きその中心を贈与とする(注23)」、「今後5年間のODA事業量について、2004年実績をベースとする額と比較して100億ドルの積み増しを目指す(注24)」などの国際公約を確実に達成するとともに、コスト縮減や予算の厳選・重点化等を通じた改革努力を継続しつつ、日本にふさわしい援助の量を確保していく方針です。

図表I-3 政府開発援助の増額に関する主要国と日本の公約

図表I-3 政府開発援助の増額に関する主要国と日本の公約


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