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1. 日本の国際協力の使命
日本が開発途上国に対して、援助を実施するのはなぜでしょうか。
日本は、経済的繁栄と民主主義を通じて、国民が平和と幸福を実現する豊かな社会を築いてきました。
一方、世界に目を向けると、現在においても、極度の貧困、飢餓、難民、災害などの人道的問題、気候変動をはじめとする環境問題や感染症、テロなどの地球的規模の問題が山積しています。世界第2位の経済規模に象徴される豊かな社会を実現した日本が、これらの人道的問題や地球的規模の問題の解決に取り組むことは日本に課せられた責務です。
また、現在の国際社会において、日本は日本のみで現在の豊かさを築いているわけではありません。人道的問題や地球的規模の問題は、これを放置すれば、日本の利益に対する直接の脅威となります。自由貿易の恩恵を享受し、資源・エネルギー、食料などの多くを海外に依存する日本は、国際社会の相互依存関係の中で、自らの安定と繁栄を追求していく必要があります。
開発途上国への支援を通じて、国際社会の平和と発展に寄与することは、日本と日本国民に対する信頼感を高め、その結果、日本の安全と繁栄の確保にも寄与します(注1)。