巻 頭 言

  日本を巡る国際環境は常に変化しています。その変化の中で、日本は一貫して、平和的な手段により国際社会の諸課題に取り組み、また国益の実現を図ってきました。政府開発援助(ODA)はその最も重要かつ有効な手段の一つです。
  2008年、日本は、G8北海道洞爺湖サミットや第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)を開催するなど、国際的な取組の表舞台となります。これらの機会に日本が指導力を発揮するためには、政府開発援助の一層の活用が不可欠です。本白書では、この点も念頭に置いて、気候変動問題やアフリカ支援への取組を特集しました。加えて、政府関係者のみならず非政府組織(NGO)や企業の方々を含め、開発途上国の現場で活躍する「日本の国際協力の担い手たち」に焦点を当てました。国際社会における日本と日本国民に対する信頼感を高めているのは、このような人たちの真摯な姿だといっても過言ではありません。
  ここで、この白書の(コラム 5)でとりあげたニジェールで活動するJICA専門家の原雅裕さんの言葉を紹介させていただきます。
  「もともと住民の中には、現状を変えるためのやる気と能力が地下水のように存在するのです。それをくみ上げる井戸の役目を果たしたのが、このプロジェクトなのです」。
  日本の開発援助は、この原さんの言葉のように、開発途上国の人々の成長と発展への歩みの力を最大限に引き出すことを目的としています。
  この白書が、国民の皆様にとって国際協力への扉を開くかぎとなり、ODAに対する更なるご支援とご理解を得るきっかけとなることを心から願っております。
  2007年12月

外務大臣

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