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[21]アフリカ開発銀行(AfDB:African Development Bank)及びアフリカ開発基金(AfDF:African Development Fund)
1.設立及び日本の協力開始の時期・経緯・目的
開始時期
AfDBは1964年にアフリカ諸国のみにより設立された。その後、域外国への開放を受け、日本は1983年に加盟した。
一方、AfDFは1973年に設立され、日本は原加盟国である。
経緯・目的
AfDBは、アフリカ地域の開発途上国の経済的・社会的開発を促進することを目的として設立された(設立協定上の本部は、コートジボワール・アビジャンに置かれているものの、2003年以来、本部機能は、チュニジア・チェニスに暫定的に移転)。2006年11月末現在で77か国が加盟している。アフリカの全53か国、また域外から24か国が加盟している。
AfDFは、IBRDに対するIDAに相当しており、AfDBが準商業ベースで貸付を行っているのに対し、AfDFはそうした条件での借入が困難な国に対して、より緩和された条件で融資を行うとともに、債務が持続可能でないと認められる国に対しては、無償資金による協力を行っている。2006年11月末現在、26か国(域外国25か国及び南アフリカ共和国(未批准))及びAfDBが加盟している。日本はAfDF設立当初からの加盟国である。
2.事業の仕組み
概 要
主な機能は、[1]域内加盟国に対する資金の貸付、[2]開発プロジェクト・開発プログラムの準備・執行のための技術支援及び助言業務等である。
AfDBは、各種格付会社から最高の格付(AAA)を受けた機関として、先進国政府及び世銀等類似の国際開発金融機関とほぼ同一の条件で国際資本市場から資金を調達し、域内加盟国に転貸している。これに対してAfDFは、ドナーによる出資金及び貸付先国からの元利返済金等をもって、新規の融資・無償資金の供与を行っている。
2005年末現在、AfDBの資本金は309億ドル、AfDFの資本金は214億ドルとなっている。
審査・決定プロセス
借入国と協議の上、プロジェクト・プログラムを策定し、理事会において審査・決定がなされる。
決定後の案件実施の仕組み
借入国が案件を実施し、AfDB(AfDF)はモニタリングを行っている。
3.最近の活動内容
概 要
AfDBの資金供与は、政府保証を付して行われる公的セクター部門と、政府保証を付さずに地方公共団体や公的企業・民間企業に対して行われる民間セクター部門とに大別される。一方、AfDFの資金供与は、全て政府保証付で行われている。
2005年の融資総額は承認ベースで、AfDB12億4,000万ドル、AfDFが20億3,000万ドル、2004年はAfDBが23億6,000万ドル、AfDFが19億5,000万ドルである。
両機関は、NEPAD(アフリカ開発のための新パートナーシップ)への協力や、農村部の上下水道の整備・改善を旗艦プロジェクトとして掲げ、貧困削減を推進している。また、拡大HIPC(重債務貧困国)イニシアティブの下、サブ・サハラ・アフリカに集中する債務問題の救済にも積極的に取り組んでいる。
主要な事業
融資全体額における部門別比率(2005年)で見ると、農業部門が13.3%、財政部門が12.5%、社会部門が13.4%、エネルギー部門が15.8%、上下水道部門が11.4%、運輸部門が12.2%、多目的部門が15.2%等となっている。
4.日本との関係
意思決定機構における日本の位置づけ
最高意思決定機関は、各加盟国の総務により構成される総務会であり、日本は財務大臣が総務に任命されている。また、融資承認等の日常業務の意思決定は18人の理事(域内12名、域外6名)からなる理事会で行われており、日本からも常時、理事が選任されている。
邦人職員
専門職員676名のうち日本人職員1名(2005年末現在)
日本の財政負担
AfDBの資本金309億ドル相当額のうち、日本の出資額は17億ドル相当額(シェア5.5%)であり、域外国中第2位。また、AfDFの資本金214億ドル相当額のうち、日本の拠出額は27億6,000万ドル相当額(シェア12.9%)であり、第2位である。注)
日本の信託基金への拠出状況
2004年度拠出 約1億2,000万円
2005年度拠出 約1億9,000万円
使途:以下の3項目を中心にAfDBと日本の関係強化を図ることを通じ、アフリカ諸国の貧困削減を促進することを目的としている。
[1]一国の総合的・中期的な開発戦略を示し、援助協調を行うための中心的な道具として位置づけられる「貧困削減戦略文書(PRSP)」の策定に対する支援
[2]HIPCs(重債務貧困諸国)を中心とするAfDF適格国に対するキャパシティ・ビルディングや政策アドバイスの提供
[3]人材育成(奨学金プログラム等)
なお、これまでに約17億4,000万円の拠出をしており、2005年度における支援案件は以下の2件である。

5.より詳細な情報
書籍等
年次報告:1年間の業務内容を国別・課題別に取りまとめている他、域内加盟国のデータを掲載している。例年、年次総会にあわせて5月に発行され、ホームページにも掲載されている。
アフリカ開発報告(African Development Report):年次報告と対をなす文書であり、アフリカを取り巻く様々な開発上の課題について、分析が行われている。
アフリカ経済見通し(African Economic Outlook):IMFのWorld Economic Outlookのアフリカ版として、毎年、年次報告にあわせ、OECDと共同出版。
ホームページ
アフリカ開発銀行ホームページ
(http://www.afdb.org)
域内加盟国に対する支援活動にかかる最新情報や職員の募集情報、開発政策にかかる各種詳細情報を提供している。