前頁前頁  次頁次頁


資料編3,4,5章 > 第3章 > 第3節 > 2 > [9]国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA:United Nations Relief and Works Agency for Palestine Refugees in the Near East)

[9]国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA:United Nations Relief and Works Agency for Palestine Refugees in the Near East)
1.設立及び日本の協力開始の時期・経緯・目的
開始時期
 1949年12月の国連総会決議に基づき成立し、1950年より活動開始。1950年の総会においてマンデートが更新され、現在のマンデートは2008年6月まで。日本は、UNRWAに対し1953年より支援を行っている。
経緯・目的
 1948年5月英国によるパレスチナ委任統治終了と同時にイスラエルが独立を宣言。これにエジプト等アラブ諸国が反発し、第一次中東戦争が勃発した。右戦争の結果、イスラエルに占領された地域のパレスチナ人約75万人が難民となり、ヨルダン、シリア、レバノン、ヨルダン川西岸及びガザ地区に流出した。当初、パレスチナ難民の救済は、1948年に設立された国連パレスチナ難民救済機関(UNRPR:United Nations Relief for Palestine Refugees)の調整により、民間のボランタリー組織の手によって行われていた。しかし、問題の長期化につれて、救済事業を自らの手で実施する国連機関の設立を望む声が高まりUNRWAの成立となった。

2.事業の仕組み
概 要
 UNRWAの事業は、大きく分けて通常計画と特別計画に分けられ、通常計画としては下記3.教育・職業訓練、医療・保険、及び救済・福祉等のプログラムを運営しており、援助国のイヤマーク拠出を受けて特別計画を実施している。
審査・決定プロセス
 パレスチナ難民である現地職員(教員、医師、フィールド・ワーカー等)約2万6,000人により事業が運営されており、右事業の内容は、日本もメンバーであるUNRWA財政委員会及び諮問委員会において、適正に運営されているか審査が行われ、また、実施された事業については、毎年国連事務総長に対して報告される。

3.活動概要(2006年6月末現在)
概 要
 ヨルダン、シリア、レバノン、ヨルダン川西岸及びガザ地区に住むパレスチナ難民約440万人に対し、通常計画として教育、医療・保健、救済・福祉等を下記の通り直接実施している。
教育・職業訓練
 パレスチナ難民の子弟は、周辺難民受入国だけでなくヨルダン川西岸及びガザにおいても一般の教育システムの中で教育を受ける機会が少ない。そのため、初等・中等教育及び職業訓練をパレスチナ難民の子弟に実施することは、UNRWAにとって重要な課題となっており、UNRWAが運営する初等・中等学校663校において生徒約49万人、また、職業訓練所8か所において約5,400人の職業訓練を行っている。なお、右教育を行うために、教育スタッフ約2万人が従事している。
医療・保健
 パレスチナ難民は、UNRWAが運営する保健センター125か所において、医療サービスを受けることができる他、歯科治療、母子保健サービス、家族計画等のサービスを提供する施設を運営しており、延べ約883万人が治療等を受けている。
救済・福祉
 老人、寡婦、身体障害者等の生活困窮状態にあるパレスチナ難民に対して社会福祉活動を実施している。
特別計画
 上記通常計画のほか、1993年より中東和平プロセスを支援するための事業として平和創設プロジェクト(PIP:Peace Implementation Project)を実施し、学校、病院等インフラ整備、雇用創出プロジェクト等を実施していた。しかし、2000年9月に発生したパレスチナ・イスラエル間の衝突以降、2006年に至るまでUNRWAは10回にわたりパレスチナ難民の窮状緩和のため緊急アピールを発出しており、現在UNRWAの活動は、上記通常計画以外では、右緊急アピールに基づくものが中心となっている。

4.日本との関係
意思決定機構における日本の位置づけ
 UNRWAの管理・運営をつかさどる委員会としては、国連総会の決議により設置された諮問委員会(英、米、仏、日本等のドナー国、ヨルダン、シリア、レバノン、PLOのホスト国の計20か国から構成)、また1970年に設置され、財政問題を検討し国連総会に勧告する財政作業部会(英、米、レバノン、日本等)があり、日本は右諮問委員会及び財政作業部会のメンバーとなっており、UNRWAの運営に対して影響力を有している。
邦人職員
 国際職員113名の内邦人職員は在籍せず。
日本の支援
 日本は、1953年より拠出を行い、累積拠出実績(拠出金、食糧援助、及び緊急援助)は2006年6月末現在で5億2,900万ドル。また、2005年度日本の援助は、現金拠出として483万ドル及び食糧援助5億円、緊急援助無償550万ドルを拠出した。
 さらに、2003年度対UNRWA技術協力として、溶接・機械等の職業訓練分野においてJICAによる研修員12名を受け入れた他、現在JICA専門家1名を職業訓練プログラム管理のためUNRWAアンマン本部に派遣した(2004年4月まで)。
主要拠出国一覧

表

5.より詳細な情報
ホームページ
 http://www.unrwa.org/
 http://www.un.org/unrwa/japanese/japanese.html(日本語)


前頁前頁  次頁次頁