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[5]国連工業開発機関(UNIDO:United Nations Industrial Development Organization)
1.設立及び日本の協力開始の時期・経緯・目的
開始時期
1966年の国連総会において開発途上国の工業化を促進することを目的として採択された決議に基づき、1967年1月1日、総会の補助機関として発足。
経緯・目的
1985年、UNIDO憲章の発効に同意する旨の通告をした国が80か国以上に達したことにより、1986年1月1日、国連の第16番目の専門機関として独立。
UNIDO憲章によれば、その目的は、経済に関する新たな国際秩序の確立に資するため、開発途上国における工業開発の促進及び加速を図ることを主要な目的とする。また、世界的、地域的及び国家的規模にて、工業開発及び工業協力を推進することである。
2.事業の仕組み
概 要
UNIDOは、開発途上国における持続可能な工業開発を促進するために、2年に1度開催される総会で決定される方針に基づき、技術協力活動を実施している。その活動資金は、UNDPやモントリオール基金より供与される資金、工業開発基金(IDF)やトラスト・ファンドに対する加盟国等の任意拠出金により賄われており、2003年実績は約9,462万ドル、2004年実績は約9,880万ドル、2005年実績は約11,291万ドル。
ただし、事務局の行政経費(人件費、地域事務所運営費、会議開催費等)は、加盟国の分担金である通常予算によって賄われており、2006、2007年通常予算額はそれぞれ約7,539万ユーロ。
審査・決定プロセス
UNIDOは、自らノウハウを有する分野について、開発途上国と協議の上開発ニーズを踏まえて国別の全体的なプログラムを策定しており、これに基づき、被援助国政府及び援助国等との協議を踏まえて、具体的なプロジェクトを確定している。
決定後の案件実施の仕組み
プロジェクト実施に際しては、UNIDO本部において、プロジェクト担当官が任命される。担当官には、予算執行権限が付与されており、責任を持ってプロジェクトの実施にあたる。プロジェクト終了時には、評価が行われ、評価結果は関係者協議(UNIDO、被援助国、援助国)によって審査される。
3.最近の活動内容
概 要
「持続可能な工業開発」(Sustainable Industrial Development)を基本原則に掲げて、競争力のある経済の実現、環境保全、雇用促進の3分野を重点目標に定めて援助活動を実施している。具体的には、LDC諸国(特にアフリカ地域)を対象として、中小企業支援や投資促進等に関する政策助言や勧告、標準化や基準・認証等の品質管理に関する助言、省エネルギーやクリーナー・プロダクション等の環境保全に資する技術移転、モントリオール議定書の履行などの活動を実施。
地域別実績
LDC諸国を中心に技術援助を実施。

主な事業

4.日本との関係
意思決定機構における日本の位置づけ
日本は、発足以来工業開発理事会(IDB)のメンバーを務めており、専門機関化後も工業開発理事会(IDB)及び計画予算委員会(PBC)のメンバーとして、UNIDOの政策立案・活動実施面で参加協力してきた。1996年の米国脱退後は、最大の援助国となった。また、2002年には、UNIDOの技術協力活動をより効果的・効率的にするための指針として、「UNIDO戦略ガイドライン」が日本のイニシアティブにより策定された。
邦人職員
UNIDOの専門職以上の邦人職員は、14名(2006年1月現在:全体の約6%)である。
財政負担
分担金:2005年度1,659万ユーロ
(分担率22%、第1位)
拠出金(工業開発基金):2005年1億7,000万円
主要分担国一覧

主な使途を明示した特定信託基金への拠出、活用状況
工業開発基金に対する拠出は、主として日本より開発途上国への投資が促進されることを目的としている。UNIDO東京投資・技術移転促進事務所(ITPO)は、右拠出金により運営されており、開発途上国の投資案件の紹介、開発途上国の投資促進ミッションの招へい、セミナーの開催等を実施。
日本のODAとの協調実績
日本の任意拠出金によりUNIDOが実施する案件について、JICAとのマルチ・バイ協力として1999年には、5つのマルチ・バイ協力プロジェクトが開始され、2000年にはモザンビーク、及びガーナ2つのマルチ・バイ協力プロジェクトが開始された。
また、UNIDOは人間の安全保障基金を用いたプロジェクト実施に力を入れており、2003年にスーダンにて初めてのプロジェクトが承認されて以来、10件のプロジェクトが承認されている。
5.より詳細な情報
ホームページ
http://www.unido.org