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[9]国民参加協力推進事業
1. 事業の開始時期・経緯・目的
開始時期
2002年度に、草の根技術協力事業を創設するとともに、従来からの関連事業を整理統合した。
経緯・目的
国民参加型の協力を促進するうえで、国際協力への理解と参加を促し、地域のもつ経験やノウハウを生かした国際協力を拡充するべく、市民参加協力支援事業として、国民に対する様々な情報提供と啓発活動を実施している。
2. 事業の仕組み
概 要
(1)開発教育支援
子供から大人まで、市民一人一人が開発・環境・平和などの地球規模の問題に関心を持ち、また考える機会を提供するため、開発教育支援事業を実施している。また、これまで国際協力の経験がなかった団体・個人に対して、国際協力への参加を支援するとともに、国際協力に参加しやすい環境を整備することに主眼を置き、国際協力経験者による体験談を含むセミナー・ワークショップなどを通じた情報提供や啓発を行っている。
具体的事業としては次のとおり。
●国際協力出前講座
●中学生・高校生エッセイコンテスト
●教師海外研修
●開発教育指導者研修
●修学旅行生のJICA訪問
●国際協力(ODA)実体験プログラム
●開発教育教材の作成と配布
●市民向けイベントセミナー
(2)連携・研修
開発途上国側の多様化するニーズに対応し、草の根レベルに届く協力を実施するためにも、自治体、NGO等の人材や知見を生かした事業を推進することの重要性が認識されており、相互の連携を深めるための取組を行っている。また、既に協力実績があっても、組織的、技術的な基盤が弱い団体などに対し、研修などの機会の提供を通じて実施能力強化につなげる事業を行っている。
具体的事業としては次のとおり。
●地方自治体職員等実務研修
●地方自治体とのブロック会議
●NGO・JICA定期協議会
●NGO・JICA連携事業検討会
●NGO・JICA相互研修
(3)国際協力推進員
全国道府県の国際交流協会などに派遣されており、国際協力に関心をもつ、地域の自治体、NGO、市民からの様々な相談に応じている。この活動の中から、地域での経験やノウハウを生かして国際協力への一歩を踏み出す自治体やNGOも出てきている。
(4)草の根技術協力事業
草の根技術協力事業には、団体の規模や種類に応じて、次の3つのメニューがある。
(イ)草の根パートナー型
開発途上国への支援について、一定の実績があるNGOや大学などの団体が、これまでの活動を通じて蓄積した経験や技術に基づいて提案する国際協力活動を支援するもの。
事業規模は3年間で5,000万円以内。
(ロ)草の根協力支援型
開発途上国の支援実績が少ないものの、団体のアイデアや国内での活動実績を生かしてNGO等の団体が行う国際協力活動を支援するもの。
事業規模は3年間で1,000万円以内。
(ハ)地域提案型
地方自治体からの事業提案によって、日本の地域社会がもつノウハウ・経験を活かしながら、開発途上国での技術指導や現地からの研修員の受入を通して、開発途上国の人々や地域の発展に貢献する協力活動を支援するもの。実施可能期間は3年以内(事業規模に上限あり)。
審査・決定プロセス
上記(4)のプロセスは次のとおり。
[1] 草の根パートナー型
事業提案書をJICA国内機関で受け付けて、関係機関及び外部有識者等からのコメントを踏まえ、年2回選考を実施。
[2] 草の根協力支援型
事業提案をJICA国内機関で受け付け、関係機関及び外部有識者等からのコメントを踏まえ、提案団体とJICAが共同で事業提案書を作成。
[3] 地域提案型
年に1回、地方自治体からの案件提案を受け、事業を選考する。
決定後の案件実施の仕組み
草の根技術協力事業では提案案件が正式に採択となり、活動の実施に移るのは、協力対象国からその協力についての了承が取りつけられ、提案団体と事業委託契約が締結された時点となる。
3. 最近の活動内容
2005年度実績は次のとおり。
(1)国際協力出前講座:2,174件/249,640名
中学生・高校生エッセイコンテスト:応募総数28,352点
教師海外研修:高校34名、中学校39名、小学校73名、その他7名
開発教育指導者研修:94件/4,351名
修学旅行生のJICA訪問:1,115件/26,674名
国際協力(ODA)実体験プログラム:49件/4,093名
開発教育教材の作成と配布:全国小・中学校16,000校等に配布
市民向けイベントセミナー:350件
(2)連携・研修
地方自治体職員等実務研修:11件/230名
地方自治体とのブロック会議:6回
NGO・JICA定期協議会:4回
NGO・JICA連携事業検討会:10回
NGO-JICA相互研修:国内32名、海外16名
(3)草の根技術協力事業
[1] 草の根パートナー型
2005年度は、49件実施(うち新規案件12件)。なお、選考については、61件の応募があり、18件が採択内定。
[2] 草の根協力支援型
2005年度は、32件実施(うち新規案件14件)。応募相談は、24件、事業提案書提出17件、採択内定16件。
[3] 地域提案型
2005年度は、地方自治体等の提案の中から、専門家115名の派遣、研修員130名の受入を実施。