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(4)食料
 世界には約8億5,000万人の飢餓に瀕する人がいます(注1)。このうち約3億人は子どもであり、5秒に1人の子どもが飢餓に関係する理由で亡くなっていると言われています。こうした状況を改善するために、世界食料サミットで採択されたローマ宣言及びMDGsでは、2015年までに飢餓に苦しむ人口比率を半減させるとの目標が掲げられています。また、紛争、自然災害、経済危機の発生などにより、食糧支援の必要性は高まっています。
 日本は、既に説明したとおり、食料不足に直面している開発途上国に対して食糧援助を行うとともに、開発途上国の食料生産性の向上に向けた努力を中長期的に支援する取組を並行して進めています。食糧援助については、飢餓への対応として人道的見地から実施しており、アフリカなど食料不足に直面している国を対象として、2005年度には食糧援助(KR)により、総額110億8,500万円の支援を行いました。このうち、二国間支援を通じて、マリ、エチオピア、エリトリア、アンゴラ、ネパール、ハイチ等に対し約54億8,000万円の支援を実施し、WFP及びUNRWA経由では、スーダン、ケニア、ウガンダ、アフガニスタン、東ティモール、パレスチナ等に対し約56億500万円の拠出を行いました。特にWFPに対しては、積極的に貢献しており、2005年はWFP経由で実施した食糧援助を含め約1億6,053万ドルの拠出を行い、米国、ECに次いで第3位の援助国となっています。

東ティモール国内避難民に対する食糧支援(写真提供:IOM)
東ティモール国内避難民に対する食糧支援(写真提供:IOM

 緊急の場合に、生命の危機に瀕している人々に対する一般食糧配給は重要です。一方で、受益者の自立支援を促進する観点からは、プロジェクトを通じた食糧援助が重要です。日本は、学校給食など、WFPが実施するプロジェクトを支援しています。
 世界では、栄養不良に陥っている子どものうち、約1億7,000万人が学校で食事をとることができず、約1億3,000万人が学校に通っていませんが(注2)、学校給食を実施することで、児童の空腹や栄養状態が改善され、学習に専念できるようになるため、授業への出席率及び理解度が向上します。そして出席した児童に対して、家に持ち帰るための食料も併せて配給することにより、家族の生活補助と、家族の教育に対する理解促進に役立っています。特に女児に対する学校給食および食料の配給は、女児の就学率向上に役立っています。


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