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(3)人口
 世界の人口は過去50年で倍増し、2005年には64億6,470万人(注)に達しています。人口問題は、地球環境や食料、エネルギー問題とも関連する地球的規模の問題です。世界の人口平均増加率が年1.2%であるのに対して、一般的に開発途上国の中でも貧しい国ほど人口増加率が高く、人口増加が貧困・失業、飢餓、教育の遅れ、環境悪化などの問題に大きな影響を与えており、対応が急務となっています。例えば、一人当たりのGNIが600ドル前後のシエラレオネ、ブルンジ、ギニアビサウでは、人口増加率はそれぞれ3.1%、3.4%、3.0%、となっており、紛争が続くソマリア、アフガニスタンではそれぞれ3.1%、4.1%となっています。
 人口問題には、個人の健康、福利厚生といったミクロ・レベルの問題と、人口数の増加・減少といったマクロ・レベルの問題の両面への対応が求められます。これらの取組においては、人口分野での専門知識や国際的ネットワークを有する国際機関などを通じた支援が有効であることから、日本は2005年度にはUNFPAに対して約43億円、IPPFに対して約16億円の拠出を行いました。これらの機関は、妊産婦の健康改善、母子保健の推進のために支援を行うほか、開発途上国の国勢調査など人口関連のデータ収集・分析、女性の能力強化、世界全体で12億人を超えるといわれる思春期の若者を対象とした啓蒙活動などを行っています。
 また、人間の安全保障の観点から、日本は2005年度には、UNFPA他国連機関がパレスチナで実施した「パレスチナ占領地における社会的弱者支援計画プロジェクト」を支援したほか、UNFPAを含む国連カントリーチームがスーダンにおいて実施した「スーダン・ダルフールにおけるアフリカ連合(AU)部隊人造り支援事業」に対して人間の安全保障基金を通じて支援を行いました。また、2005年10月に発生したパキスタン地震に対する支援として、UNFPAに対して緊急支援を行い、21万個の衛生キットを購入し、被災地の妊産婦等に配布しました。これにより、感染症対策や疾病の低減等に貢献し被災地での衛生面の向上につながりました。


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