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(2)鳥・新型インフルエンザ
 2005年秋以降、鳥インフルエンザが世界的に流行し、ヒトからヒトに感染する新しい型のインフルエンザ(新型インフルエンザ)の出現の可能性が高まり、新型インフルエンザの世界的大流行の脅威が各国に広く認識されるようになりました。交通輸送手段が発達し、人、モノの移動が速い現代において、一国のみの対応でこのような感染症の流行を抑えることは不可能なことから、鳥・新型インフルエンザは地球規模の問題まで発展しました。
 そのため、国際協調が必須であり、様々な国や国際機関により、その対策を講じる必要がありました。その中で日本は、様々な国際会議において、資金・知見の両側面から重要な役割を果たす国として参加し、2006年1月には鳥・新型インフルエンザの分野での国際支援についてのプレッジング会合(於:北京)において主としてアジア向けに総額約1.55億ドルの資金支援を行うことを表明しました。同年3月までにその金額の拠出を行い、世界に先駆けて支援を実施に移しました。具体的には、新型インフルエンザ発生時の早期封じ込めのための抗インフルエンザウイルス薬、防疫用品の備蓄支援、また、住民啓発、動物衛生や保健専門家の能力構築、途上国における計画策定支援、国際共同研究による知的側面での支援等を実施しています。また、2006年1月には、WHOと共催でアジア地域において新型インフルエンザが発生した場合の早期封じ込めに関する国際会議を開催しました。アジア諸国、関係国際機関、ドナー諸国等の専門家が参加し、早期封じ込めを成功させるために必要な措置を整理しました。
 国際的な動きとしては、米国は世界の関心国による会合を主導し、カナダは鳥インフルエンザ感染防止の観点から見て重要な30か国の保健大臣による会合を開催しました。また、アジア太平洋経済協力(APEC:Asia-Pacific Economic Cooperation)の枠組みでも、鳥インフルエンザ大臣会合を開催したほか、日本や米国、オーストラリアなどがセミナーやシンポジウムを開催しました。さらに、WHO等の国際機関は高級事務レベル会合を行うなど、様々な会合が世界各国で開催されました。この他にも、APEC、ASEAN(Association of Southeast Asian Nations:東南アジア諸国連合)の首脳会議及び東アジアサミットといった会議で鳥インフルエンザ対策に協調して取り組むとの宣言が出され、2006年1月に開催された上記のプレッジング会合では総額19億ドルを超える支援が約束されました。
 日本は今後も鳥・新型インフルエンザ対策について、各国や国際機関と連携を図りながら実施していく考えです。


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