column II-13 北澤豪さんへのインタビュー
JICA(国際協力機構)のオフィシャルサポーターで、元サッカー日本代表の北澤豪さんにお話を伺いました。
-JICAのオフィシャルサポーターになったきっかけを教えてください。
北澤さん:現役のサッカー選手だったときから開発途上国に対する援助に関心がありました。現役時代の2001年に、カンボジアで子どもたちにサッカーを教えたことがきっかけとなって、THE FOOTという、地雷除去活動や世界各地の恵まれない子どもたちを支援するNGO団体を立ち上げました。また、現役引退後は日本サッカー協会の国際委員に就任し、日本サッカー協会の大使としてサッカーの発展、普及にも努めています。こうした活動がきっかけだったのではないでしょうか。
-オフィシャルサポーターとして開発途上国に行かれ、どのような感想を持たれましたか。
北澤さん:訪問した国で子どもたちにサッカーを教えたのですが、その中で強く印象に残っているのは、開発途上国の子どもたちは何かを教えるとそれを吸収しようとする意欲がとても強いということです。ボールが1つあれば、一人でも多くの子どもたちがサッカーをすることが出来ますよね。そして、サッカーを教えることでみんなどんどん上手になる。ちょっとしたきっかけで、自分が教えた子どもたちの中から、将来プロのサッカー選手が誕生し、世界で活躍するかもしれない。そう考えると、子どもたちに対して、機会を与えることの大切さを痛感します。
-サッカーを通じて、何を伝えられるとお考えですか。
北澤さん:まず、私自身が、すばらしい発見をしました。それはサッカーを教えることで自分も学ぶことが多い、ということです。一口にサッカーと言っても、日本のサッカー、アフリカのサッカー、南米のサッカーと言ったように、いろいろな形のサッカーがあります。それを知った上で、開発途上国の子どもたちに合ったサッカーを教えていくことはとても大切なことです。なぜなら、サッカーは人生そのものに通じるものがあると考えているからです。サッカーをすることで、子どもたちはいろいろなことを考え、学ぶことが出来るんですよ。例えば、チームワークの大切さ、ゴールを奪うためにはどのような作戦を立てればよいのか、強くなるためにはどのような練習をすればよいのか、等々。このように計画を立てたり、協調性を養っていくといったことは、子どもたちのこれからの人生にも役立つものだと信じています。
-実際に開発途上国を訪ねられて、日本の援助についてはどう思われますか。
北澤さん:現地の人々は、日本に対してとても感謝していました。「例えば、この橋は日本が作ってくれたんだ。」というように。また、援助の基本は人だ、とつくづく感じます。青年海外協力隊の隊員が、現地の人たちに対してどのような援助をすればいいのか、ということを真剣に考えて取り組んでいる姿がとても印象的でした。一人一人による地道な努力や貢献が、相手の国の人々にきっと伝わるはずです。だからこれからは日本の顔が見える援助に期待をしたいと思います。そのためには日本内外にもっと日本の援助をアピールしてもいいのではないでしょうか。そして私自身もサッカーを通じて、開発途上国の子どもたちに貢献することができたら、とてもうれしいですね。
-ありがとうございました。

カンボジアでサッカーを教えている様子(写真提供:KTP)

アフリカのザンビア共和国にて(写真提供:KTP)